動画:加藤聖五選手、シュラドミングで日本人歴代最高のアルペンW杯GS20位記録。2本目は日本人歴代GS2番目の記録
今回のスキー上達方法とコツは昨日行われた2024年シュラドミング男子大回転で日本人歴代最高順位を記録した加藤聖五選手の話題について書きたいと思います。
読む前の注意:マスコミの記事には一部「日本人2人目のGSでのW杯ポイント獲得」という情報がありますが、1983年3月に千葉信哉さんが富良野のW杯で20位を記録したという情報がありますが、FISの公式リザルトには記録がありません。2人目なのか3人目なのかを知りたく、どなたかご教授していただけると非常に助かります。
まず最初に加藤選手の日本人選手GSの新記録を塗り替えたことに大きな感動を覚えました。
まだ課題は山積してますが、長期間苦しい日本チームに大きな変化の時期がようやくきてるのかなという実感が湧いており、チーム全体が強くなるきっかけになればと強く願っています。
今回は
の3つをお伝えします。
加藤聖五選手のドイツ語インタビュー&2本目の滑り
ちなみにドイツ語でのインタビュー映像が短いですがこちらにありました。
Kato Seigo Interview Riesentorlauf Schladming 2024
https://youtube.com/watch?v=3Eav3uAis_M…
映像がアップされればSNSでシェアします。
https://twitter.com/hide_skiarea/status/1749988346817085677
2本目の加藤聖五選手の滑りがこれです。
ちなみに私の聞き違い?かもしれませんが、ゴール後のアナウンスが
「サイゴカトー」 「SEIGO KATO!」の間違い?
かわかりませんが、加藤選手の名前が大きく呼ばれた気がします。現地のマスコミもインタビューしてますね。
映像は下記のリンク先で。
https://twitter.com/hide_skiarea/status/1750044250941837746
というような状況で、やはりシュラドミングはどこか日本人と相性の良い場所という印象を受けました。(雰囲気もいいですし、日本人選手が上位に来ると別の盛り上がりがありますよね。そこがハッキリしてる会場です)
ちなみに、もうみなさん言うまでもありませんが、W杯での大回転の記録は2004年10月のゾルデン開幕戦での佐々木明選手以来の記録ということもあり、実に
「20年ぶりの記録更新」
です。
当時はまだ加藤選手は6歳ですから、いかに長い年月がかかってるかがよくわかります。
そしてその長い年月が経って佐々木明選手がまだ現役で1ランク下のカテゴリーで戦ってるというのも凄いことで、51歳の葛西紀明選手のスキージャンプ日本代表入りに負けないくらい(こちらも凄すぎ)、アルペンチームも風向きが少し変わってきた感じがします。
加藤選手はこれでウェンゲンのSLに続き、GSでも2本目に進出する力をつけてきたということで、あとは
こういった可能性がある唯一の日本人アルペンスキー選手ではないかと思います。
2021年のコルティナダンペッゾォ世界選手権でもGS18位を記録してますが、安藤麻選手同様、やはり
「トップ10に絡む力」
を2種目でつけてほしいなと思っています。
「スラロームで結果の出る選手はGSも調子いい」
と昔から言われますが、それを見事に再現した加藤選手は守りに入らず、このまま勢いで攻め続けてほしいなと思います。
シュラドミングGSの滑りはどうだったか?詳しく2本目の順位を分析
上記でも書きましたが、加藤選手は2本目12位という結果でした。
1本目11位から優勝した2本目トップのオデルマットの力技は流石の一言ですが、そのオデルマットに対し1秒38差という結果を残し、おそらくこれが正確な世界のトップとの差となります。
2本目のスタート順、スケートリンクのような斜面での掘れ具合から考えると
「ほぼ同じ条件でのタイム差」
ではないかと思います。
では、実際にどういった順位になっていたのか。
すでに世界トップレベルにいることがわかるかと思います。
1 | ODERMATT Marco(SUI) | 1:04.04 |
2 | VERDU Joan(AND) | 1:04.49 |
3 | STEEN OLSEN Alexander(NOR) | 1:04.94 |
4 | DELLA VITE Filippo(ITA) | 1:05.00 |
5 | KRANJEC Zan(SLO) | 1:05.01 |
6 | FELLER Manuel(AUT) | 1:05.07 |
7 | ZINGERLE Hannes(ITA) | 1:05.10 |
8 | VINATZER Alex(ITA) | 1:05.10 |
9 | ZUBCIC Filip (CRO) | 1:05.19 |
10 | HAUGAN Timon (NOR) | 1:05.21 |
11 | de ALIPRANDINI Luca(ITA) | 1:05.28 |
12 | KATO Seigo(JPN) | 1:05.42 |
13 | MEILLARD Loic (SUI) | 1:05.48 |
14 | McGRATH Atle Lie(NOR) | 1:05.50 |
15 | BRENNSTEINER Stefan(AUT) | 1:05.70 |
なんと加藤選手、ロイック・メイラード(スイス)、クリストファーセンより上なんです。
また、区間タイムの順位をオデルマットと比較すると2本目はこういったタイム差になってます。
*左から第1チェックポイント、第2、第3、ゴールタイム
オデルマット | 16.8 | 31.51 | 47.53 | 1:04:04 |
加藤選手 | 17.09(+0.29)15 | 32.32(+0.81)16 | 48.48(+0.95)15 | 1:05.42(+1.38)12 |
これを見ると15位と16位をキープしています。
スタートゼッケンのコースコンディション、今のW杯出場メンバーの実力から考え、現実的な考えで見れば
「ギリギリ第1シードに入れるかどうか」
というのが今の加藤選手の立ち位置ではないかと思います。
なぜ「ギリギリ」と言ったかと言うと、バルディゼールなど一部の難易度の高いレースではまだタイム差が大きいからです。
ただ、2本目の滑りだけを見れば最後の急斜面もラインがあまり落ちず、しっかりと1発でターンが決まっていたのは2021年の世界選手権とは違う技術的な違いが見られました。
スタートも関係するでしょうが、あのタフなコースと斜面でしっかりと2本まとめてきたのは大きな収穫ではないかと思います。
後から出てくる佐々木明選手の当時の2本目の世界ランクを見ればわかりますが、ゾルデンも割と日本人は挑戦してきてますが、メインがスラロームということもあったため、クラシックレースでのGSの実績がほとんどないに等しいです。
ただ、今の日本チームはGSでもバルディゼールなど積極的に出てきてますから、ランクを上げていくことがもしGSでも可能なのであれば加藤選手は佐々木明選手を超えるポテンシャルを十分持っていると見ています。(加藤選手の場合W杯GS・SL共に経験値がある)
2021年の世界アルペンの時の腰高の滑りは多少守ってた感じもしましたが、3年ほど経ち
「あ、今度はいけるかも」
と感じさせてくれた滑りでした。
当然ですが、小山陽平選手など他の日本人選手はもちろん、佐々木明選手の下から這い上がるプレッシャーで日本のアルペンに勢いが出てくると感じてなりません。
非常に良い流れです。
2本目の順位は実は日本人歴代2位の記録。実はあの日本人も凄かった。
もうおわかりでしょうけど、佐々木明選手です。(上で言ってますけど^^;)
2004年10月のゾルデンで当時日本人最高のGSの記録を持っていた佐々木明選手、実は2本目のランキングを見るとこんな感じでした。
2004 solden gs 2nd run | ||
1 | SCHOENFELDER Rainer(AUT) | 1:07.01 |
2 | BUECHEL Marco(LIE) | 1:07.15 |
3 | CUCHE Didier(SUI) | 1:07.17 |
4 | WALCHHOFER Michael (AUT) | 1:07.32 |
5 | DE TESSIERES Gauthier(FRA) | 1:07.36 |
6 | HOFFMANN Ambrosi(SUI) | 1:07.37 |
7 | RIEDER Arnold(ITA) | 1:07.40 |
8 | MAIER Hermann (AUT) | 1:07.46 |
9 | SCHIEPPATI Alberto (ITA) | 1:07.53 |
10 | Akira Sasaki(JPN) | 1:07.56 |
11 | SPENCER Dane (USA) | 1:07.59 |
12 | MILLER Bode(USA) | 1:07.60 |
そう、2本目は10位だったんですよね。
リザルトだけ見れば24位ですが、
ボディミラーよりも上で、ヘルマンマイヤーとは0、1秒差
という中身がとんでもない記録だったのです。
ただ、その後の佐々木選手の活躍を見るとSLもGSも世界のトップ10に来れるレベルの日本人でないと第1シードは狙えないと感じています。
もちろん、日本はスラローマーの国のような戦略で今まで来てたので、GSの影響がスラロームにどの程度与えるのか正確な統計がわからないのですが、少なくとも佐々木明選手のこの数字は後のスラロームやダウンヒル挑戦にも通じるものがあったと思います。
一時期、佐々木明選手がブリザードにチェンジし、
「オールラウンダーぶり」
を見せ、事実上今も昔もワールドカップで「ほぼオールラウンド」に出たのは
「佐々木明選手1人だけ」
です。
木村公宣さんも複合などで活躍してましたが、ワールドカップで3種目挑戦はやろうと思えばできた選手もいたのでしょうが、佐々木選手1人だけではないかと思います。
GSでもトップ10レベルの力を加藤選手が持ってるのであれば、SLとの二刀流で狙っていくことは十分可能ではないかと見ています。そして、ここに現在ヨーロッパカップで揉まれてる佐々木明選手がW杯組に入ってくるのか。
まずは目の前のレースを1つ1つクリアしていってほしいなと思います。