スキー検定1級(バッジテスト)の種目と合格のコツ

スキー検定1級(バッジテスト)の種目と合格のコツ

合格率から見るスキー1級の凄さや全日本スキー連盟(SAJ)バッジテスト(スキー検定)1級の種目や合格・不合格の違いを動画と画像交えて詳しく解説します。なお、他の1級種目別のコツなどはYoutubeのスキーテクニックチャンネルにあるのでチャンネル登録しておくと便利です

追記1:2024年7月11日に全日本スキー連盟(SAJ)は検定種目名を「基礎パラレルターン」から「ベーシックパラレルターン」に変更しています。見本の滑りがこちらに掲載されています。動画で古いものは「基礎パラレルターン」になってますが、評価の仕方が変わるということは出ていないので従来通りで問題ないはずです。
追記2:改めて2024年3月3日に1級1発合格したので、受験前に読んだこの本をベースに合格のコツを解説します。プロの見本を連続写真で見れるので非常に参考になりました。(横滑りがある時代の少し前の検定攻略本です)
こんな方におすすめ

  1. パラレルターン大回りが滑れない方
  2. ベーシックパラレルターン小回りができない方
  3. パラレルターン小回り不整地が苦手な方
  4. 総合滑降って何?と思う方
  5. 1級不合格の原因がわからないという方
  6. 検定種目や受験資格を知りたい方

下記が動画板になります。動画だけでも35分ありますが、さらに追加情報をこのページで解説します。

目次 Content

バッジテスト1級の検定種目

Photo:Sapporo Teine

2023−2024シーズン現在の1級検定種目は以下の通りです。なお、万が一種目変更や改訂があればこのページを更新し、SNSで変更箇所を告知します。

1級の検定種目

  1. パラレルターン・大回り(急斜面/ナチュラル)
  2.  ベーシックパラレルターン・小回り(急斜面/ナチュラル)*23/24シーズンまでは「基礎パラレルターン小回りでした。
  3. パラレルターン・小回り(中斜面/不整地)
  4. 総合滑降(急斜面/ナチュラル)

1級のボーダーライン点数と採点の仕方

検定員3名で評価。3名の平均値がポイントとなり、小数点を四捨五入する仕組みです。また、1種目当たりの満点は100ポイントとし、4種目の合計が280ポイント以上で1級合格となります。

1種目70点で合格ライン

合計点で合否が決まりますが、1種目あたり70点×4種目=280点というのがボーダーラインと考えてください。(69点が出ても71点他で出せば問題なし)

また、バッジテストは2級合格者のみなのでわかるかと思いますが、70点前後で評価されます。点数の意味をまとめると

点数内訳

  • 68点以下:まだまだ努力が必要
  • 69点:惜しい。あと一歩
  • 70点:合格基準
  • 71点:うまい
  • 72点:1つ上のテクニカル受けることを検討しても良いレベル
  • 73点:クラウンまで受かるかも。技術選上位者などにいる。

72点以上は割とテクニカル受ける人、技術選受ける人が出す点数かと思います。また、満点は100点ですが、バッジテストの構造上、75点以上は普通でないです。(なぜ100点満点かは不明)

72点は次のレベルを受験しても大丈夫なレベルと受け取っても良いかと思います。いわゆる「加点レベル」というやつです。

  技術選出場したくて慌てて資格がないアルペンスキー選手が割と71点以上取っていくことがありますが、そういったレベルが加点レベルです。

逆に70点だとギリギリセーフなので、次のレベルであるテクニカルは練習次第と受け取っても良いでしょう。

1級受験に必要な資格

1級受験に必要なものは以下のものです。

  1. 年齢制限なし
  2. 2級合格書(証明できるもの)
  3. 事前講習1単位(2時間)修了者
  4. 修了者は受講年度のみ有効

SAJバッジテスト1級合格・不合格の違いまとめ

全日本スキー連盟(SAJ)のバッジテスト1級の合格者、不合格者の違いは何なのか?ザッとですが書いてみたのでまずは下記をご覧ください。

1つ1つ詳しく記事後半で深掘り解説します。

ベーシックパラレルターン小回り

合否の違い

  1. 1級と2級のベーシックパラレルターン小回りの違いは2級が中斜面であることに対し、1級は急斜面となっています。急斜面になると後傾姿勢の人はスキー板をコントロールできないので、よりきちんとセンターポジションに乗る必要があります。
  2. 検定種目を見ると斜度以外に2級との違いがありませんので、どう滑るかわからないまま受験する人も多いかと思います。正確には2級ではなく1級の小回りをしないと70点以上もらえないのが現実です。具体的にはターンの始まりから終わりまできちんと1本の弧を描くイメージで滑り、「2級のただズラす角付け」ではなく「スキー板のトップ(先端)からテール(後ろ)までしっかりと使うもう1段上のレベルの角付け」ができるかどうかが大きな違いです。もっとわかりやすく言うと2級はテールのズレが大きく、1級はテールのズレが少ない方が得点が高くなるということです。(ただしフルカービングは70点をもらえません)ここを解説する記事や動画はあまりありません。合格者、不合格者のターンをよく分析するとこの違いがはっきり見て取れます。また、SAJの見本の滑りを見るとターン後半の抜け、つまり少し加速しているのがよくわかります。これはポジションが悪い人が絶対できないので、やはり1級のターンの質は2級と同じ「ベーシックパラレルターン小回り」でも全く違う印象を持っています。ここに気づけるかどうかは大きな合否のポイントでしょう。
  3. 合格者はきちんと丸い弧を描き、不合格者はターン弧が丸くなく、縦気味のラインで暴走したり、スキー板を横にする「ズラす滑り」でターンが止まってる人もいる。中にはストックを一切使わず、フルカービングで69点という人もいる。
  4. 不合格者の中には「小回り」なのにターン弧が大きく、中回りになっているケースがある。
  5. 後傾姿勢でターンがコントロールできていないと69点以下になってるケースが多い。(急斜面での恐怖心でお尻が後ろに下がってるケースがある)
  6. ストックワークが弱い。ただ突いているだけで、上体が後ろに乗ってる状態だけだと69点以下。
  7. 上体のかぶりすぎは良くない(技術選を真似してるのか、すごい猫背の方がいますが、これではスキー板をコントロールしにくいポジションなので、上体をもう少し起こすと良い結果が出るはずです)

パラレルターン大回り

合否の違い

  1. 斜面を広く使い、中回りにならないこと。(14mから15m、アルペンの大回転くらいのインターバルが理想。技術選もこの基準値を採用)
  2. そもそも屈伸運動(上下の動き)すら使っていない人は不合格。(屈伸運動とは準備体操の屈伸運動ではなく、たわみを生み出す動きのこと)合格者がなぜ上下の動きを使うかというと、スキー板をたわませ、ターンをなめらかにしたり、ターン後半の加速(抜け)を良くしたりするため上下の動きを使う。これができないとさらに上のレベルの急激なカービングターンなども描けない。(短いエッジングでスピードあるターン処理ができないことにつながる)特にアルペンスキーW杯レベルとかの上下の動きは究極で参考になります。(1級ではこのレベルは求められませんが、ミカエラ・シフリン選手などはわかりやすい動きをします。ただし、アルペン競技はW杯やヨーロッパカップクラスが使うフレックスtoリリースといったターンテクニックが多いので、真似をしてはいけない部分も多々あるので注意が必要です。中には技術選の上手い滑りを真似て不合格になる方もいます。1級で求められる技術レベルできちんと表現しましょう。)
  3. 合格者の上体の使い方は背中を少し丸くし、1本の弧を描くイメージで滑る。不合格者は上下の動きを「ただの屈伸運動だけ」という認識で滑ってるので雪面にスキー板がグリップせず、結果的にテールがズレる2級の「ベーシックパラレルターン大回り」になってるケースが多い。実際はただの上下運動ではないのがポイント。2級のようにターン後半雪を押し出すような動作をするのではなく、しっかりとスキー板をたわませるイメージで滑り、結果的にズレを無くすのではなく、ズレを減らして滑るのがポイント。別の言い方をすると雪煙が上がる量を減らす。(小回りになりますが、下記の「ベーシックパラレルターン小回り」の画像参照)71点、72点の加点を取る人は種目名に「ベーシック」がついていないことをきちんと理解してるので、テールをずらさないでターン前半から板をきちんとたわますレールターンができているケースもある。
  4. 3番の続きで、不合格者はズラす角付けであり、1級レベルの「トップからテールを使う角付け」をしていない。結果テールをズラす2級の「ベーシックパラレルターン大回り」の滑り方からレベルが上がっていない。一方合格者はスキー板のトップ(先端)からテール(後ろ)までなるべくズラさないで滑るまたは全くズラさないターンで滑っている。
  5. 後傾姿勢の人はそもそも不合格率が高い
  6. 1級レベルになると技術より経験値で差がつくケースがある。一例を出すと試験で設定された急斜面やコブのレベルが高い場合。恐怖心で後傾姿勢、または内倒でスキーを止めながら滑る人は69点以下になるケースがある。一方、合格者は難なく滑ってくるくらい経験値が豊富なケースもある(技術選出場資格取るために来るアルペン経験者は、いつも急斜面を全力スピードで滑って慣れてるので恐怖すらない。スキーというスポーツは自分の滑ってない領域になると人は恐怖心で普段の滑りができなくなります。経験値は重要。参照:基礎スキーとは?技術選上位がアルペン出身である理由

総合滑降

総合滑降とは「大回り」「小回り」など2種目以上を必ず入れ

  1. 2級より速いスピード
  2. ターン後半の加速(抜け)
  3. 減速要素がない
  4. 暴走もない

といったことをアピールする種目です。

斜面の状況に応じてスピードを落とさず、ゴールまで減速しないのが理想。

赤線で「など」と書いたのは中回りでも問題ないということです。

完全フリーなのでターンリズムに変化を入れればOKですが、おそらく得点を考えると

大回り・小回り構成>大回り・中回り構成

の方が難易度が難しいので、大半ポイントが高いのが大回り・小回り構成ではないかと思われます。(斜面によって変わるとは思いますが)

なぜならリズム変化だらけであるアルペンスキー競技を経験していない人は、例えば大回りから小回りに移る際、急激なエッジングをして減速してから小回りしまうケースが結構あるからです。

アルペンスキーのスラローム競技で使うアンギュレーションが普段からできていないとまず無理かなと・・・。下記動画参照。
*「スキー板が走る」とは「ターン後半加速する」ということであり業界用語です。アルペン競技は減速するとタイムが出ないので、「アンギュレーション」は必ず習得する基本中の基本の技術です。(記事後半で解説)

 急激なエッジングをするくらいなら中回り構成の方が「たぶん」得点が高いでしょう。(失敗が1番の原点要素なので。この辺のことは後半で詳しく解説します)

合否の違い

  1. この種目の最大のポイントは大回りと小回りのつなぎの部分。スピードを殺さないで滑ることが最も重要。
  2. 合格者はロングターン(大回り)からショートターン(小回り)に入る際、急激なエッジングがない。この時、検定員は雪煙をチェックしています。雪煙が上がる=急激なエッジングということがバレるので、いかにつなぎのところでスキー板をたわませていくかが問われます。これは2級までにはなかった動きで、アルペンスキー競技でも使う重要な1つのテクニックがここで入ってきます。(私が基礎と競技を分けて考えてはいけないと語る理由はココです。基礎がないと応用(競技)で戦えないのです。後半で詳しく解説します。)
  3. 大回りが苦手な人は小回りを少し多めに、小回りが苦手な人は少し大回りを多めにという戦略を合格者は考えてる。また、斜面によって戦略を変えることができるのが合格者。不合格の人は技術選などを見てただ真似るだけという人が多いかも(あくまでも主観です)
  4. 1級より上のテクニカルやクラウンよりも滑走距離が短いことが多いので、シンプルな構成にした方が無難。大回りで終わるとか小回りで終わるとかの問題があるようですが、斜面や雪質を見て「あなたがミスをしずらい構成」が正解です。(一般的には最後大回りか中回りが多い。)
  5. 斜面を広く使うこと。狭いと印象が悪い(そうです)

パラレルターン小回り(不整地)

合否の違い

  1. あまりにも遅すぎると69点以下になるケースもある。
  2. 逆ひねりが重要。要は上半身とスキー板の方向が一緒だとターン処理が遅れ、スピードも出ないので減点対象となるケースがある。別の言い方をするならば上半身をフォールライン方向に向けておく癖をつける。
  3. スキー板のスタンスが一定ではない、またはスタンスが広げっぱなしというケースは厳しい。むしろスタンスは狭め、肩幅より狭くするくらいが理想。
  4. 簡単な浅いコブだと斜面自体がレベルが低いので、ミスが逆に許されないケースもある。暴走したり、バランスを崩すと厳しくなる。
  5. 深いコブ、浅いコブの2種類がある場合、自信がない人は浅いコブを選択し、無難に70点を獲得する人もいる。ただし、浅い方は難易度が下がる分、ミスが許されないと思って良いかなと。
  6. よく「ズルドン」でも完走すれば受かるという人もいますが、実際に検定動画を見るときちんとターンの最初から最後まで「板を回し込む」または「ターン弧を描く」動きがないと69点以下になるケースもある。(ズルドンとはズルッと滑りドンと落ちるようなコブの滑り方のこと。板の回し込みは記事後半で解説)

スキーバッジテスト1級の狙いは?

さて、上記では1級の合格者と不合格者の違いを書いてみました。

ある程度やるべきことは見えたかと思いますが、整理すると以下のような技術を習得することが1級の狙いとなります。

中でも「ベーシックパラレルターン小回り」は斜面レベルが少し変わるだけで名前こそ一緒ですが、実際に滑りを比較すると滑り方も少し違ってくるので注意が必要と考えます。

1級の狙い

  1. 2級の外足荷重はスキー板のテール部分(金具より後ろ)をズラす操作だったのに対し、1級は多少テールがズレたとしてもトップからテールを使うパラレルになっている。(ズレが少ないと得点は高くなる。かといってフルカービングではないこと。)
  2. 1番の延長線上で不整地は回し込みが重要。ズルドンの滑りだと、2級のベーシックパラレルターン小回りのようなテールをズラすだけの滑りになるので、可能であれば1級の理想とするトップからテールを使うターンにした方が理想。(テクニカルやクラウンに比べ1級の不整地はまだ評価が甘いので)
  3. 総合滑降など全般的にズラす動作が圧倒的に減るのが1級。ターン1つ1つが止まらない、流れるような滑りが評価され、急激なエッジングは不合格の原因につながる。
  4. 上体をフォールラインに向ける動作が入ってくる。
  5. 後傾姿勢は2級に引き続き減点対象

というのが1級レベルです。

 アルペン競技や上級者の要素が入ってくるのも1級の特徴ですね。

ターン1つ1つが止まらないよう、流れるようにスピードを繋いでいく基本動作はアルペン競技の初心者の段階でも求められます。(アルペンではもっと高速の中で求められますが。)

 理想を言うならばスタートが1番遅く、ゴール時点で1番速い滑りになっているというイメージが1級と思ってもらえるとわかりやすいかと思います。

かといってアルペン競技ではないので、暴走すると減点になるのでスピード制御(コントロール)された中で丁寧に滑る必要があります。

 ターン1つ1つがきちんと精度の高いものに仕上げていきましょう。

バッジテスト1級合格のための練習方法とポイント

さて、ここからは上記で書いてきた不合格者の問題点を1つ1つ修正していく練習方法やコツを書いていきます。種目別に詳しく解説していくので、見たいところをご覧下さい。

ベーシックパラレルターン小回りの練習方法とコツ

全日本スキー連盟(SAJ)の公式の見本の滑りをよく見ると

ベーシックパラレルターン小回りという同じ種目・名前でも1級と2級では滑り方が全く違う

ことに気づいた人はどのくらいいるでしょうか?

 正直、個人的には名前を変えないと2級の滑りを1級でそのまま実行するのではないかと思ってしまうのですが、実際に手本を見せるデモンストレーターの方の滑りもかなり違っています。

 具体的には・・・

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スキーは楽しくゲレンデで安全にみんなが楽しめればそれで良いと思います。ただ、検定やアルペンなどは最低限やるべきことがあるので、ブログとYouTube、Xでそれぞれ細かくお伝えしてます。アルペンW杯・冬季五輪速報はXでやってます。スキー下手くそなので日々勉強中したことをシェアしてます。

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