スキー小回りのずらし方は2種類。SAJバッジテスト1級と2級では全く滑り方も変わる。 PR

今回のスキー小回りの滑り方のコツはズラし方について説明します。
まず最初に、そもそも「スキーをずらす」とは何かを知らない人に簡単に説明すると、こちらにも写真があるように
全日本スキー連盟(SAJ)のベースにある「横滑り」のこと
を指します。
記事冒頭の2つの写真のようにスキー板を急激または少しテールを横向きにズラす滑り方となります。要はブレーキして滑るわけですから、
- メリットとしてはスキー板を横向きにすることでブレーキ要素が入り暴走が防げる
- 一方でデメリットはアルペンスキー競技ではタイムが出ないので極力使わない滑り方(振ったポールセットなどでズラし方を極めることは重要)
という特徴があります。
アルペンの場合のズラし方はこちらの映像で。再生後47秒のオデルマットの赤い旗門参照(補足:アルペンのズラし方はこちら。アルペンの場合、ズラすというより水撒いた硬い斜面で結果的にエッジで切ってズレるというイメージ)クリストファーセンが内倒というのは珍しいですね。最後の急斜面の入り口は腰の位置も重要ですが、ズラし方がすごいなと。
また、全日本スキー連盟(SAJ)のバッジテスト(検定)では
- ベーシックパラレルターン小回り:1級2級で登場し、板をズラす必要がある(1級と2級のズラし方の違いは下記動画参照)
- パラレルターン小回り:テクニカルとクラウンで登場し、いわゆるカービングターンの滑り方(下記動画参照)
という違いもあり、特に指導員・準指導員をされる方やこれから目指す方、基礎スキーヤーには必須の技術となるので滑り方を知っておくと役立つかと思います。(参考書籍:日本スキー教程)
ズラす小回りの滑り方とは?なぜ横滑りが必要なのか?

こちらの情報によると
SAJ資格検定受検者のために2022年度(P71)横滑りが1級検定種目から消えたのはカービングによる暴走が減ったから
のようなことが書かれています。(詳しくは本を読んでください)
アルペンスキーでは基本やってはいけない滑り方ですが、基礎スキーという業界はあくまでも
「ゲレンデで安全に滑る技術を習得することが大前提」
に作られてるので、競技派と基礎派の人がネット上でバチバチしたりしてますが、そもそも
スキーのコンセプトや目的が違うので、議論しても意味がない
ので、横滑りがベースにあるというのが一般的です。
では、横滑りとはどういった滑り方になるのか?それがこちらの動画に出ています。
動画冒頭にゴリゴリの検定向けの映像ではないですが、ズレを使った横滑りが登場します。
そして、その後にズレを使った急斜面の滑り方、ズレの小回りと展開していくので、こちらの1本でも十分学べるかと思います。
横滑りには完全に真横にする滑り方とテールだけの横滑りに分かれる

ブレーキをするとき、皆さん上記の写真のような真横にスキー板を向けて止まるかと思います。
こうすることで進行方向に逆らって雪面抵抗が生まれ、停止できるというわけです。これを滑った時になるとこうなります。

極端な滑り方かもしれませんが、斜面は常に斜めですから下に滑り落ちていきます。そのため、板を横向きにしても外側の足に荷重していれば左右、写真の場合だと左足に荷重し、右方向にターンが可能となるわけです。
ここまでが完全にスキー板を真横にする滑り方となります。
では、ここから2級、1級とレベルが上がるわけですが、どのようにテールだけで横向きの滑りに仕上げるのか?という話を次にします。

簡単に言ってしまうと上記の写真のようになります。レベルが上がるほどターン弧がC字からS字に近くなっていき、
- エッジングが短い
- エッジングが短い=ブレーキしてる時間が少ないからスピードがその分出る
- 1級の小回りは2級よりスピードがあることを見られるので、そのスピードの中でスピードコントロールされることが求められる(2級ではスピードは求められないので)
という感じでターンの質が変化していきます。
わかりやすく言うと、昔の1級はウェーデルンでしたが、あれは真横に板を向けつつ、早くターンしていくイメージで滑ってました。
今の時代はみなさんカービングのスキー板で受験しますから、ターンしようとして板を傾ければカービングが発生してしまうので、その結果
ターン前半はカービングしつつも、ターン後半はズラす昔ながらの滑り方でスピード制御
というハイブリッドな感じで昔と今の滑りを融合しているのが1級のベーシックパラレルターン小回りかと思います。

写真で比較してみると一目瞭然です。
1級レベルはカービング要素(フルカービングは減点)を出すので、そもそもラインが変わってきます。
2つのズラす小回りの違い(上記の写真参照)
- 2級はただ横向きにするずらしに対し、1級レベルは板のトップ(先端)をしっかり角付け(傾ける)し、テールでズラすのでそもそも板の向いてる方向が全く違う。
- 雪煙が出る位置が違う
- 板の向いてる方向が違い、1級練習画像の方はもっとS字に近い滑り方に仕上げてる
- 2級レベルの滑り方はアイスバーンだとしっかりエッジでスピード制御できるので、アイスバーンは特に安全に滑れる。カービングでアイスバーンだと暴走してコントロール不能になる人も出る。
といった滑り方の違いがハッキリ出てる1枚です。
いろんな小回りを覚えることが大事。技術の引き出しは多いに越したことがない

どちらのズラし方にもメリット、デメリットがあるので、
- まずはどこでも安全に滑れる2級レベルのズラしのある小回りを覚え
- それから1級のカービング要素の入ったズラす時間が短い小回り
- テクニカル・クラウンのフルカービングターンに近い、ズラしがほぼないパラレルターン小回りへと進化
というステップにするとスキー技術の引き出しが増え、アルペンやモーグルにも入っていきやすくなるはずです。
現に、全日本スキー連盟(SAJ)もこのようなステップでバッジテストを作ってるのがよくわかりますし、私も子供の頃はこのようなステップでレベルアップしていったのを覚えてます。
仮に競技に行かないで基礎1本だとしても、いろんな雪質、ゲレンデコンディションに対応でき滑りの面白さも広がるので、スキーがきっと今よりも楽しくなるはずです。
SIAにもスキー検定があるので、興味のある人はSAJと両方取得して日々の生活を豊かにしてみてはいかがでしょうか?

最新情報は
Xで受け取れます。
この記事を書いた人 Wrote this article

hide
スキーは楽しくゲレンデで安全にみんなが楽しめればそれで良いと思います。ただ、検定やアルペンなどは最低限やるべきことがあるので、ブログとYouTube、Xでそれぞれ細かくお伝えしてます。アルペンW杯・冬季五輪速報はXでやってます。スキー下手くそなので日々勉強中したことをシェアしてます。