アルペンスキーW杯を引退した選手が使う31番スタートのワイルドカードとは?次はどの元選手が使うか予想してみた。

アルペンスキーW杯を引退した選手が使う31番スタートのワイルドカードとは?次はどの元選手が使うか予想してみた。
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前回、ヒルシャーが新ルールを使ってゾルデン男子大回転の31番スタート枠を使う可能性について書きました。このルールはアルペン人気復活の1つの鍵になりそうです。なぜFISがこれを作ったかを予想してみます。

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まず昨日の記事を見ていない方、そもそも「ワイルドカード」とは何かを知らない人はこちらの過去記事をご覧ください。

まあー名前からして

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スギちゃん(懐かしい)びっくりのワイルドなカードなんだろーなー

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というイメージがありますが、おそらくこのカードは良くも悪くも使われる可能性がある新ルールでしょう。

ある意味、今まで視聴率が下がる31番スタートが、最も視聴率が上がる「31番スタート」となり、

「アルペンスキー史上初のエンターテイメント?出場枠」

ではないかと思います。(事情があって引退したエンタメ目的以外で使う選手も出てくるでしょう)

このワイルドカードについて深掘りして今回は書いてみます。

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個人的には50代でW杯を戦うスキージャンプの葛西選手に結構スキー業界が影響してるような気がしてます。アルペンの場合、スキージャンプほど公平性がないので、31番スタート枠を使うのは視聴率の面から考えてもアリのような気がします。

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ワイルドカードを使える元W杯アルペンスキー選手は限定される。次はたぶんこの人。

Photo:リンゼイ・ボン(USA)/Hans Christiansson

もう引退してから結構な年月が経ってますが、SNSを使い人気が未だ現役選手より高いであろうリンゼイ・ボンがこのカードを切るのではないかと勝手に予想しています。

なぜなら

  1. 資金難で開催不可能になったカナダのレークルイーズ(彼女の得意な場所)が開催されず、かつ男女混合のレース候補地だったがFIS側から却下された。
  2. これを未だに根に持ってるはずで、キッツビューエルの男子滑降コースで彼女は2023年に実際にナイターで滑ってる。
  3. 技術レベルも多分高速系ならまだ十分戦える。

ヒルシャーと共通してるのは

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2人ともレッドブルがスポンサーであり、男女のレースは不可能でも男子滑降の前走でボンが滑っても不思議ではない。キッツビューエルはレッドブルの力が最も強く働く場所

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でもあるからです。

しかも来年はザルツブルグ世界選手権もあり、オーストリアのアルペンは盛り上がるはず。

もちろん、これらは妄想なので実現不可能の可能性の方が高いとは思いますが、トレーニングの感じからしても現役復帰にこのカードを使う可能性は今後十分あるのではないかと思います。

このカードを使えるのは2014年以降に引退した選手のみ。この選手たちも該当する。

Photo:テッド・リゲティ(USA)/shutterstock.com

この記事を書いてる時点のルールでいくと

「引退して2年以上経過し、10年以内」

なので、使えるのは

  1. テッド・リゲティ
  2. ベンヤミン・ライヒ
  3. アクセル・ルンド・スビンダル
  4. ボディ・ミラー

あたりが該当するかと思います。

ただ、登録の問題やそもそも世界で最もタフなカテゴリーであるW杯に出てくるレベルのコンディションを保ってる元スター選手はかなり限られるでしょう。

なので私は前回の記事で

「ヒルシャーのためのルールではないか」

と書いたわけです。

ヒルシャーの場合、ヴァンディアのスキーテストを兼ねるとハッキリ言ってますから、成績だけが出場目的ではないです。

もちろん宣伝目的もあるでしょう。

ただ、このワイルドカードを悪用する人が出る可能性もあるかと思うので、今度は影の部分を書いてみようと思います。

ワイルドカードになぜ審議会があるかを考えてみた。

Photo:Marc Girardelli, Markus Wasmeier, Petar Popangelov/Nataliya Nazarova

残念ながら往年の選手たちは今回のルールに適用されませんし、時代が違いすぎるのでおそらくFISは「10年まで」にしたのだと思います。(体力的な問題もあるので)

アルペンスキーW杯のレベルを担保するために、ハイレベルな条件をルールに記述したのではないかと予想されます。でないと、

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ルールを緩くするとカネ目的の出場者が出てくる可能性が出る(トンバやジラルデリが今の時代のセットを本気で滑ったら一部の人は盛り上がるでしょうが、技術レベルが明らかに下がってればただのショーなので前走で十分なはずです)

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わけで、あくまで「W杯は世界最高レベル」とするため、五輪金メダルレベルで、かつ何らかの事情で引退して間もない選手でも復活できる仕組みを用意したのかもしれません。(ロシアのスラローマー、コロシロフなんかは2022年以降出たくても出れない状況になりました)

ブラーテンのような事例が今後増えるはず。ナショナルチームという発想は時代遅れになってる。

もう1つ考えられるのは今アルペンスキーW杯はヒルシャーとブラーテンの影響があるかわかりませんが、

「国籍変更するのが当たり前の時代になった」

ということも考えられます。

そうなるとブラーテンのように1シーズン出場停止になる選手も当たり前に出てくる可能性が高まり、SNSやWEBサイトによって連盟に頼る必要性がなくなってきてます。

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国籍さえあればいい時代。猫ひろしさんがカンボジアに国籍変更し、オリンピックに出たのは1つの事例。資金調達できない日本チームから出るアスリートは今後増えるはず。

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スキー連盟や国に不満を持つ選手はどこの国も多く、ギリシャのAJジニスも元々はアメリカナショナルチームです。

そもそも母国とかナショナルチームという概念がこのグローバル社会であまり意味を持たない気がしてます。(ヒルシャーのように自分にとって都合の良い場所で生きていく時代)

  1. W杯スキー選手たちは自分でテレビのようなチャンネルを持ち(YouTubeやインスタなど)
  2. 自分でスポンサーを獲得し
  3. 自分で商品を作り(佐々木明選手は昔からゴーグルメーカー経営してます)
  4. 自由にプロ活動できる時代
  5. ナショナルチームに束縛されなくても良い時代

そういう時代なのです。これはプライベートチームという概念を作った1980年代のアルベルト・トンバ以降、ずっとあることです。

全日本スキー連盟(SAJ)のアルペンナショナルチームは財政危機に陥ってますが、プロ活動した方がスキーで生計を立てていきやすい選手も多いはず。

1級レベルの私ですら1000人以上のチャンネル登録者数、SNSもトータルで5000人以上ですから、価値をきちんと提供すれば生活費・活動費くらいは稼げるはずです。

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価値のない動画を作っても例え五輪レベルのスキー選手でも社会的価値はゼロです。スキーのコンテンツ制作の企画段階から市場のデータ分析は必須です。AIやアルゴリズム、各種データをアスリートが使いこなす時代です。アルペンスキー選手は日本では無名ですから、選手に価値がない場合は別の付加価値を創造するしか価値を作ることは不可能です。「寄付」と「広告」に依存すると景気に左右されるのは当たり前です。有事の際でも常に安定して世界中から資金が入る仕組みをSAJはもちろん、選手自身が作らないといけない時代です。

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中には技術選と並行するアルペン選手もおり、資金を獲得しながら活動を継続する人もいます。

連盟に頼っていてはもうダメな時代なのは選手たちみんな知ってます。(全部とは言いませんが、会社員ですら時代は団体戦から個人戦に社会全体が移行してるのです。プロアスリート同様、仕事ができる人はより報酬が高い会社へ転職するのは当たり前。格差社会とは社会全体がプロ化する時代です。)

アルペンスキーW杯は徐々にショー化していく?かも

Photo:アクセル・ルンド・スビンダル/PHOTOMDP

そもそもヒルシャーのように

「引退していた時期もずっとアルペンやってました」

という人は稀でしょう。

なので、おそらくしばらくはヒルシャーくらいしかこの「ワイルドカード」は使わないと予想できますが、今回写真で掲載した選手はミラーとリゲティ以外はレッドブルアスリートです。

この会社は飲料メーカーではなく「マーケティングの会社」ですから、今後FISと協議しながら「仕掛け」をしていくのではないかなーと想像しています。

今回のルール変更に関わってるかはわかりませんが、アルペンスキーの改革案の1つなのは間違いないでしょう。

今後の行方が楽しみです。

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スキーは楽しくゲレンデで安全にみんなが楽しめればそれで良いと思います。ただ、検定やアルペンなどは最低限やるべきことがあるので、ブログとYouTube、Xでそれぞれ細かくお伝えしてます。アルペンW杯・冬季五輪速報もやってます。

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