ベーシックパラレルターンと基礎パラレルターンの違いを解説。2つの大きなジャッジ変化あり。

ベーシックパラレルターンと基礎パラレルターンの違いを解説。2つの大きなジャッジ変化あり。

日本スキー教程が改訂され、2024−2025スキー検定(バッジテスト)1級・2級の小回り・大回りも「ベーシックパラレルターン」と名前が変更されました。今回は「基礎パラレルターン」と何が違うのか?について解説します。

*動画版でも実際に滑りを比較してます。

今回の話は前回の記事、2025スキー検定は評価のポイント変わる?日本スキー教程改訂の滑り方から考える。と下記の動画の続編となっているので、まだ見ていない人は目を通しておいてください。

ベーシックパラレルターンと基礎パラレルターンの大きな違い

スキーグラフィック2024年11月号にはベーシックパラレルターンと基礎パラレルターンについては特に目立った改訂に関することが特集ページでは書かれていません。

なので当初私は

基本的に検定員は昨年同様の評価の仕方をするのではないか?

ということを言いましたが、これは事実かと思います。

しかし、10年前と今の教程を比較し、SAJバッジテスト改正を見ると、実は2カ所大きな変更点がありました。(すっかり見逃していました^^;)

それは

  1. 24−25シーズンから1級と2級の検定員の人数が2名または3名になった。2名の場合、50%ずつなので合格率に影響するかも?
  2. ターン弧が10年前と今では大きく変わってる。

という点です。

スキー検定をジャッジする検定員の人数に変化がありましたね。

1級:2名または3名

2級:同上

人手不足をカバーするためのものかはわかりませんが、これが検定の合格率に影響するか非常に気になります。SAJバッジテスト受験者要チェックです。

https://x.com/hide_skiarea/status/1854142338869891497

スキー教程改訂版のベーシックパラレルターン小回りの滑り方が10年前とかなり違ってる。

前回の動画の最後(上記の動画)で私は1級の基礎パラレルターン小回りが70点だったという話をし、2014年と2024年の基礎パラレルターン小回りの比較動画も出しました。

確かに2014年に発売された前回のスキー教程の小回りと、2024年では大きくスキー教程改訂版で滑り方に変更があります。

それは

POINT

ベーシックパラレルターン小回りと10年前の基礎パラレルターン小回りのターン弧の大きさが全然違う

ということです。

実は2023−2024シーズンでも評価の仕方が変わってる

私は2024年3月3日に1級を受験し1発合格してます。

この時、検定員に言われたのが

捉えを早くし、板をしならせ、回し込んで滑ったつもりなんですがどうですか?

アルペン癖が強く、上半身がフォールラインに常に向いており、ターンとターンの間にスキー板がフラットになる瞬間がなかった。

ということを事前講習段階で言われました。

注意:アルペンはタイムを競うので、基礎スキーの動きは一部逆効果になるケースがあるので滑り方に注意が必要です。

しかし、雪不足もあり長さが80mあるかないかくらいの短いコース。

この条件で

2級よりもスピードが求められる1級の基礎パラレルターン小回り

だったので、初速を出す必要がありました。そのためターン弧をS字ではなく、C字。縦目のラインを選択しないと

スピード遅くない?

とジャッジされると判断し、あえて2014年の滑りに近い滑り方、事前講習のままの滑りをしました。

その結果、印象が悪かったのか70点という結果で加点がなかったわけです。

動画の中にある2014年の基礎パラレルターン小回り、つまり2014年のスキー教程(P89参照)のターン幅で滑ったというわけです。

このP89のターン弧は当時の主流の小回り幅でしたが、

この検定コースの短さだとS字で基礎パラレルターン小回りをしたら、スピードが出る前に終わる

と判断したわけです。

しかし、事前講習で検定員は

「ターンとターンの間で板をフラットにする時間が必要」

と言ってました。

となると、2024年のスキー教程改訂版のスキッティングの小回りが正解ということになります。

実際に本を見ると確かにターンとターンの間できちんとフラットにする時間が出てます。(詳しくはダイナミックパラレルターンの赤部分を参照)

スキー教程改訂版は検定の滑りそのもの

この教程もそうですが、実は2022年の資格検定受験者のためにでもフラットにしてる時間がしっかりと写真で出てるので、1級の小回りで合格したい人は1度教程と資格検定受験者の本と2014年のスキー教程を比較するとよくわかるかと思います。

2014年のスキー教程の基礎パラレルターン小回りにはフラットにする時間がなく、しかもターン弧が全く違います。

日本スキー教程改訂版はスキッティングターンでももっと深いターン弧でS字になってるので、下記の動画だと右側が正解ということになります。

少なくとも検定員が

「板をフラットにする時間を作れ」

と言って、教程など最近の見本写真も同じなので、ここは全日本スキー連盟(SAJ)の共通認識でたぶん間違いないと思います。

SAJ資格検定受検者のために2022年度にも出ていない情報なので、ターン弧はバッジテスト受験者は研究する価値があるのは間違いないでしょう。

スキー技術選もターン幅が昔の中回りに近くなってる。なぜ日本スキー教程改訂版でズラす滑り方が減ったか?

また、スキー技術選も小回りのターン幅が5mから5.5mと設定されてるので、これも1級検定で影響してるかなと今になって思います。

上記の動画で私は

日本スキー教程改訂版はベーシックパラレルターンに割く量が少ない

と言いましたが、小回りの幅を広げることで

  1. ターン幅を広げることでカービングターンでもスピードが上がらず
  2. ビジュアルもカッコ良くなる

と考えた?かはわかりませんが、基礎の代名詞「ズラし」であるスキッティングも紹介しつつ、ターン幅でカービングターンの安全性も上げていくという狙いもひょっとするとあるのかもしれません。

前回のスキー教程はカービングターンによる暴走事故多発が問題となった後の改訂だったので、横滑りを1級で登場させ、ズラす滑りを重視するターンが1級検定種目に反映された過去があります。アルペンW杯も大回転でR35ルールになり、深いターン弧は怪我のリスクも高いということで板の改良も進んだわけです。

Rとは回転半径のことです。30だと30m、R12などの小回りモデルは12m感覚でターンするために設計されたと考えればわかりやすいかな?と思います。

現在は1級の横滑りもなくなり、大回転は男子も女子と同じR30。板の形状も90年代に近くなり、板のしなりをきちんと生み出せないとターン後半のスピードが生まれないようになってます。

ただ、R30で大回りすると内傾角がないと深いターン弧を描けないので、2024年の技術選

内倒するかしないかギリギリのところを狙って、難しい難易度の高いターンを描くと点数が出る

ということがジャッジ別順位でわかりました。

技術選はスキー検定とは違いますし、フィギュアスケートのようなジャンプで差別化とかはできません。その代わり

  1. ビジュアル的にカッコ良く
  2. 技術・構成が上手い
  3. 捉えが早い(ターン後半型ではなく、前半から荷重をする)
  4. かつ難しいターンが評価される(アルペンでいう「振ったポールセット」をイメージし?、深い内傾角でターン後半の加速を生み出すにはスピードと正確なポジションが必要。さらに雪が緩めば腰の位置などの微妙な調整がないと内倒するので、ギリギリを狙うと点数が出てる)

という共通認識が点数分析からもわかります。(この滑りを上手いと思うかどうかは人によって変わりますが)

いろんな条件が揃って、スキー検定や教程が「ベーシックパラレルターン」に変更したということは、カービング2.0時代に入ったのかな?というのが私の印象です。

ぜひ、10年前と今、できれば過去20年分のスキー技術選を動画サイトなどで分析してみてください。

ターン弧がかなり違ってますよ。

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スキーは楽しくゲレンデで安全にみんなが楽しめればそれで良いと思います。ただ、検定やアルペンなどは最低限やるべきことがあるので、ブログとYouTube、Xでそれぞれ細かくお伝えしてます。アルペンW杯・冬季五輪速報もやってます。

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