スキー技術選2025リザルト&点数傾向速報。深い内傾角選手がランクダウンした理由

まだ全選手の予選からスーパーファイナルの映像を分析したわけではないですが、点数の傾向が1つわかったので書いてみようと思います。目次から好きなところをご覧ください。
第62回全日本スキー技術選手権大会のリザルトはこちら。第63回全日本スキー技術選手権大会会場はどこ?
第62回全日本スキー技術選手権大会が昨年の第61回大会に続き、北海道のルスツで開催されました。(第63回スキー技術選会場はまだ未定のようですが、ルスツではなさそうです)
なお、今大会には2023年、2024年スキー技術選優勝者である渡邊渚選手がアルペンに専念して欠場という状況で行われ、優勝は武田竜選手の前人未到6連覇、女子は弥永奈々選手でどちらも僅差での優勝となりました。
スキー技術選2025はどこで差がついた?2026年スキー技術選の点数傾向を先読み
昔からスキー技術選のジャッジの傾向として1番わかりやすいのは
「雪煙」
です。
同じ時間帯に私はルスツ以外の場所でスキーしてましたが、北海道はプラス気温でかなり雪が緩んでました。おそらくルスツも同じような雪質だったんじゃないかと思いますが、こうなると
深い内傾角がウリの選手は点数出ないだろーなー
と思い、ザクザクの雪の中でもスピードが出るターンに点数がつくとリアルタイムの技術選映像を見て判断し、私は別のスキー場で技術選の大会時間中にこんな滑りをしました。

緩い雪の場合、ジャッジからすると
雪煙舞いやすいから減速してるかどうかわかりやすい
という特徴があります。
なので、
「深いS字ターン=雪煙が舞う=減速」
というリスクが付きまとうので、ジャッジはここの修正をかなり重要視して見たんじゃないかと私は見てました。
アルペンスキー競技でも雪煙が舞えば板が横になった証拠になるので、タイムが出ません。つまり減速したと小学生でもわかるわけです。
技術選を見てもわかりますが、雪煙が少ない状態の選手は点数が高めです。
しかし、大会名の通り「技術を競う」わけですから、
雪煙が舞うことがなく、けどそれでも深回りしてスピードをどこまで上げれるか?といった選手に点数がつく競技(これはあくまでも個人の感想です)
でもあるので、奥村駿選手がトップの武田竜選手と4点差の2位まで追い上げたんだと思います。
技術選はこれだけ知ってると点数差がわかりやすくなる
動画の中でも
「スキー検定と技術選は使う技術が違う」
と私は毎回説明してますが、技術選は
- 点数が出ない滑り方:浅い孤のターン(直線的なターン)。雪煙が少なくわりと誰でも滑れるので簡単
- 点数が出る滑り方:深い孤のターン(アルペンの難易度の高い横幅のあるポールセット)。雪煙が舞いやすく(板がズレやすく)、速く滑るのが難しい
というスキーの当たり前の話がベースにあるのではないかと思ってます。
簡単に言ってしまうと、アルペン競技がわかりやすいかと思います。
草レースとアルペンW杯のポールセットどっちが難しいですか?
ということです。
当たり前の話ですが、SAJ公認大会→FIS公認大会→W杯とレベルが上がるにつれて横幅のあるターンで、かつスピードが求められるのがアルペンスキー競技です。
基礎スキーも同じで、
横幅が出るほど雪煙が舞いやすく、減速しやすい。それを最小限にするほど点数がつくのは当たり前。しかも日本スキー教程にも沿った内容(スピードコントロール)も必要。
という基礎スキー業界にいないと理解できないルールがあるので、
基礎スキーおかしい
といったことがネット上のあちこちにあちこちに書かれるわけです。
*「基礎スキーおかしい」と思う方はこちらの記事に詳しく書いてます。
今大会、奥村駿選手だけが深回りタイプで点数を出し続けてたので、彼はかなり今大会の雪質を考慮して、外スキーが逃げないギリギリのラインを攻めてたのではないかと思います。
下手すれば奥村選手の滑りは10位以下になっても不思議ではない雪質でしたが、そこをうまくリスクマネージメントしてきた印象がありました。
内傾角の滑りには大きなデメリットがある。アーティステック点が伸びても技術点が伸びない雪質がある。
2024年10月7日に日本スキー教程が改定され、基礎パラレルターンからベーシックパラレルターンに名称が変わり、検定種目名も変わってます。
実際に本の中の写真を見ると
内側の足に大きな特徴がある。両足荷重のような滑り
で、今の時代のスキーマテリアルに合わせたフォームに切り替えてきました。(あくまでも私の印象です)
実際は両足荷重の比率は自由に変えられるのですが、ビジュアル重視(深い内傾角)の選手は2024年は良い成績でも、2025年のスキー技術選で一気に順位を落としてます。
実際に2024年のスキー技術選でも気温が上昇し、雪が緩んだバーンで内倒する選手も出てます。
逆にギリギリですがスーパーファイナルに進んだ井山敬介選手など、ベテランが最後頑張った印象があり、
重たい湿った雪はバンクを意図的に作り出す外スキー重視の選手の方がターン後半加速できた
のではないかと見てます。(あくまでも予想です)
*バンクを意図的に作るカービングターンの滑り方解説記事はこちら
湿った雪で反発力がないと、減速しますから遠心力が減ります。
そうなるとプルークターンのように内側にも荷重をかけ、
- 内倒→失速という結果になるとスピードに欠けたり
- 必要以上にスキーが横(移動)になったり
- 無駄な角付けが増えて減速する
- 内足が重い雪に引っかかりバランスを崩す
などデメリットの方が今大会多かったのではないかと思われます。
深い内傾角の滑り方は
- メリット:ビジュアルがかっこいい(アーティステックの点数が伸びる)
- デメリット:湿った雪に弱く、内倒しやすくなる。結果、外スキーからの力が減るのでスピードも遅くなる。
という長所と短所があるわけです。
気温が低く、ハードパックな雪質ならアリな滑りですが、技術の幅が少ない選手にとっては2025年のスキー技術選はかなり苦戦したはずです。
佐藤栄一選手が5位になったのは、経験値の差もかなりあったのではないかと個人的には感じてます。
個人的には
「ショートターンに190cmのロングスキー板でやる規制種目」
があれば実力差がより明確になると思ってますが、おそらく今大会上位に来た選手は190cmのスキー板でもショートターンでたわみを使ってうまく滑れる技術を持ってるはずです。(海外の選手はよくやりますね)
2026年のスキー技術選は本州か。深い内傾角の時代は一旦落ち着くはず。

2026年のスキー技術選の会場はルスツから移動するようなのですが、調べた限りではまだ未定のようです。
わかり次第SNSで情報を流しますが、とりあえず来年以降も温暖化が進むと思うので、
- 雪が緩むので例えば外足6割、内足4割荷重のスキーヤーは7:3にするなど荷重配分の調整をする必要がある
- ターン前半で見せたい選手はトップからセンターが絞れたスキー板にする
- ワックスなど3月上旬ではなく4月前後の調整
など様々な技術と用具の調整をしないと結果は出ないかなと思われます。
深い内傾角は続くには続きますが、一見ベーシックパラレルターンベースの滑りに見えても内足と外足の荷重配分を変えないとスキーが加速することはないかと思われます。(結構内倒する選手いましたよね。ここも後日別途解説予定です)
井山敬介選手もブーツを直前で選んでましたから、微調整でかなり滑りが変化するのでフィジカルを含めて全部セッティングを変えていく必要があるでしょう。
最後に、個人的な感想ですが
やっぱり井山敬介選手だけ「全日本ギリギリスキー技術選手権大会」でしたね(笑)。
来年もギリギリスキー技術選期待してます^^
P.S.引き続きXとsnowweb.jpを中心に男女の技術解説をわかり次第どんどん投稿していくので、気になる人はフォローしておいてください。(点数解説を動画でもひょっとするとやるかもしれません)

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基礎・競技に関係なく使えるスキー上達法についてYouTubeとブログで解説しています。用具に関する話題なども豊富にブログで書いてます。