深くて内傾角がある速い小回り・大回りパラレルターンのメリット・デメリット
詳しい技術解説はこちらで吉岡大輔さんが解説してるので見て欲しいのですが、簡単に言うと技術選2位以下の選手はフィギュアスケートの前人未到の5回転ジャンプに挑戦してるような状況なのです。
今回は昨日の記事の続きです。
なぜ5回転ジャンプに例えるか。
当たり前の話ですが、フィギュアスケートの5回転ジャンプは
- 膝にダメージが来る
- 毎回成功できるわけではない
- でも成功したら得点が高い(フィギュアの場合、申告制で4回転飛ぶと申告し、回転が足りないと減点になります。技術選はないですけどね。)
と明確です。
4回転、4回転半ジャンプにスケート選手たちが挑戦するのは点数のためであり、技術選も同じです。
これをスキーに置き換えると「深くて切れ味のある鋭いターン弧」が5回転に当たるのは
という特徴があるので、失敗の穴埋めをするため、武田竜選手の上に行くためにはこのような「得点が高いターン」をする必要があります。
これをジャッジの吉岡大輔さんはこちら(2024年スキーグラフィック6月号)の本で「ハイリスクハイリターン」のターンについて詳しく写真付きで解説してるので、気になる人は読んでみてください。
失敗が少ない武田竜選手VSハイリスクで勝負する2位以下の選手との戦い
武田竜選手が勝ち続けて5回が経過しました。
表向きは武田竜選手が上手いと言われがちですが、種目別で見ていくと他の選手が高いときがよくあります。
全選手上手いですが、正確に点数を見ていくと必ずしも武田竜選手が1位ではないのです。
ですが上位に居続ける滑り方をしてるので、
という方程式があります。
このブレない状況が長年続き、他の選手はミスが当たり前になってるので、どこかで点数を稼がないと追い越せないというわけです。
ここで疑問に思うのが
スキーの上手さとは「失敗しない完成度の高い滑り」なのか、それとも「難易度の高い滑り」なのか
そういった疑問が(個人的に)出てきてます。
フィギュアスケートに例えると
「5回転を飛ぶこと=上手いのか?」
という話と一緒です。
飛ぶことはスケートとはある意味関係ない技術です。
ただ、基礎スキーの場合はモーグルのようなエアーがないので、速い捉えで板のしなりを生み出すという滑りが現段階で高評価をもらえるのであれば、この滑り方で失敗しない選手だけが武田竜選手を超えるということになるのではないかと思います。
結果として「失敗しない滑り方が最強」になってしまうのかなーと思ったりもします。^^;
2025スキー技術選は武田竜選手の6連覇か、世代交代か
点数を見ていくとよくわかるのですが、武田竜選手を含むトップスキーヤーに共通するのは
「不整地に弱い」
という点です。
武田竜選手も決勝の不整地で順位をガクンと落としてますし、他の選手もみんな不整地で落としています。
この不整地のミスをゼロにできるか、それとも無難に280点当たりを狙えるレベルになるのかで、2025年のスキー技術選の展開が変わるといっても過言ではないでしょう。
もちろん整地で失敗してる選手もおり、こういった動きを武田竜選手が事前に知っていたのか知りませんが、彼の滑り方が1番評価されるという結果になってるのがここ数年の基礎スキーの現状です。
緊張感のある大会で失敗しないこと。
技術だけでなく、精神的なタフさも要求されるので、来年はさらに面白くなりそうです。