
基礎スキーのおかしい部分についてネットで色々書かれてたですが、皆さんはどう思いますか?コメント欄でご意見お待ちしてます。(返信はしませんのでご了承ください)
この記事はこんな人に役立ちます
- 基礎スキーが嫌い、くだらない、わからないと思う方(こういったコメント多かったです)
- アルペンと基礎スキーの違いを知りたい方
- アルペン業界、基礎スキー業界のバイアス(先入観)がかかってる方
私自身が指導員路線を検討してるので、ここで一旦わかってることだけまとめておこうとかなと思います。
結論から言うと
SAJの見本の滑り(デモ)はあるけれど、インストラクターによって全く滑りが違うし、個々に合わせて現場でやってるので、スキー指導はそれでいいんじゃないか
と思ってます。
アルペン癖については言われましたが、求めてる技術できていれば検定は十分合格できます。
基礎スキーはゲレンデ全てを安全にかつ上手に滑れることが目的。競技などに応用できる基礎を作るための場所が検定

まもなく全日本スキー技術選2025が北海道のルスツで開催されます。一方で、3月15日にはサッポロテイネの方で佐々木明選手の国内ラストレースが控えてます。
アルペンと基礎。
実際にどちらもやってみて思ったのは
基礎スキーでやったことは全部アルペンでやったよね
という内容です。
なので技術選上位選手にアルペン経験者が非常に多いのは当然かなと思います。(もちろんモーグル、基礎上がりの人がいるのも承知してます。技術選はスキー界の総合格闘技なので個人的に楽しみにしてます。)
もちろん、両者の違いがあり、
- アルペン:タイムを出すため、速く滑らせるための滑り方
- 基礎:見栄えも考慮される
という違いがあり、フィギュアスケートとスピードスケートによく例えられますが、スケートと違うのは
同じプルークボーゲンでも片方は速さ、片方は見栄え。同じ「外足荷重」でも目では見えない部分でかなり違うからみんな戸惑ってしまう
ということです。
なので私の滑りはアルペンの世界でそこそこタイムが出ても、基礎スキーの世界にいくと2級65点、1級70点となるのです。
10年ほど前にスキー技術選に出たトリノ冬季五輪男子回転4位の皆川賢太郎さんの滑りに様々な声がありましたが、基礎スキーは結論、見栄えも重視される特殊な世界なのです。(多くの人がかっこよさからスポーツ始める人がほとんどだからという理由もきっとあるでしょう)
今の基礎スキーはアルペンW杯をベースにし、見栄えもプラスした世界

知ってる人は知ってますが、スキー技術選のジャッジ5人のうち、2名がアーティステック(見栄え)を担当します。
ジャッジもアーティスティックが何点なのかを以前みたくまた表示すると見てる側もより試合がわかりやすくなるので、個人的には復活してほしいなと思ってます。(DVDにも細かい点数をきちんと表示させてほしい)
また、2022年からの小回り規制などからもわかるように、アルペンスキーW杯の流れや傾向を試合に落とし込んでる点もあり、武田竜選手(元アルペンW杯選手)もアルペンW杯が1番上の位置付けと湯浅直樹さん(トリノ五輪男子回転7位。W杯3位最高)との対談イベントでも語ってます。
なぜスキー技術選や基礎スキーは滑り方がコロコロ変わるのか?
このことは上記の動画で解説した通りです。
私は元々アルペンの世界にいたので、こういった基礎スキーと競技の違いをYouTubeやブログ、Xで発信してるのですが、アルペンスキーは毎年各国で熾烈な競争をしてるので、トレンドが嫌でも変化していきます。
常に1番速くて安定した怪我をしずらい滑りが数字として正確に出てくるので、「技術的なうまさ」がハッキリ出ますし、下手な人はコース外に吹っ飛んだり、タイムが出ないといった滑りになるのがアルペンです。
けど安全なスポーツでないと普及しない。SAJとSIAの本当の役割

つまり、
アルペンで完走して結果を出す選手が1番安全で技術もある滑り。これが一般スキーヤーにとって究極
というわけです。
全日本スキー連盟(SAJ)の基礎スキーを管轄するのは教育本部です。一方、アルペンは競技本部。
どちらも現在では色々な部分で繋がっており、基礎と競技者の対談も雑誌で掲載されており、競技とか基礎とか言ってられない時代なのです。(スキー場が存続しないと競技も成立しないため)
SIAも同様ですが、スキースクールで教えるのはレーサーではなく、一般の方が対象です。
つまり、ゲレンデでの
- 安全な滑り
- 安定した滑り
を教えており、あくまでも怪我をしづらい滑りを教え、ゲレンデの治安維持の役割もあるので、それを教育するのがスキー・スノーボードスクールというわけです。
なので、スキー技術選は「スキーの先生の大会」というのはある意味で正解なのです。
基礎スキーおかしいとみんなが思う部分はココ?バッジテストは勉強と技能の両方知らないと不合格になります。
基礎スキーおかしいだろ!なんで俺の滑り不合格なんだよ!
多分、多くの人はここに対して「基礎スキーおかしい」と感じてるのではないでしょうか?
基礎スキーというか、検定は試験であり
「勉強と実技のセット」
が検定でもあります。(下記の「不合格になる理由」動画参照)
勉強というのはSAJが出してる日本スキー教程の滑りがベースとなります。
私が大した練習もしないで1級と2級1発合格したのは、
スキーの基礎をアルペンの世界で叩き込まれたから(元日本代表の方)
です。(YouTubeではその元日本代表の方の基本練習を無料で教えてます。)
スキーの基礎とは
スキーの基本要素(カッコは基礎スキー)
- 腰高のセンターポジション
- 外足荷重
- ストックワーク
- 上半身のフォールラインが基本(基礎スキーは正対の時間あり)
- エッジからエッジのターン(基礎スキーはターンとターンの間で板をフラットにしないといけない)
- 上に力を抜かない(推進力の維持)
- 板をずらさない(基礎スキーは横滑りがベースなのでズラしが必要。ズラしてスピードコントロールする必要がある種目は「ベーシック」がつく検定種目。テクニカルとクラウンはカービングによるターン弧でスピードコントロール)
という基礎技術があります。
カッコの中は基礎スキーのジャッジ視点です。
ただ、アルペンの滑りでそのまま受験しに行って検定員から
滑りができてるので何も言うことないです。
という言葉をもらいました。
ですが、結果は1級オール70点というわけです。
つまり、この70点は
1級の技術があれば合格点を出す。合格点の最低点が70点
なのです。
つまり、言い方を変えれば見栄えとかは0点だったということになります。
*加速の違いを比較した動画がこれ
私はアルペンの滑りでそのまま1級受けたら何点になるのか知りたく、ほぼぶっつけ本番で受験しました。トリノ五輪男子回転の皆川賢太郎さんも技術選出場時の級は1級でした。(1級はギリギリの参加資格です)
ちなみに渡邊渚選手は現役アルペン選手で全日本選手権トップ10に入る実力者ですが、1級で2年連続技術選で優勝してます。(2023年と2024年)
ですが、技術選の上位選手の出場資格を見るとほとんどが
「指導員」
なんですよね。
理論ベースの滑りが技術選にはあり、日本スキー教程改訂された直後は特に教程の滑りが重要視される傾向があり、外野の人から見ると武田竜選手のコピーに見えなくもないですが、それも致し方ない部分があります。
SAJもSIAもフランチャイズ企業のような感じ

全国各地のスキー学校の先生方に教える立場がナショナル・SAJデモンストレーターなので、SAJのフランチャイズと言いますか、「SAJ公認」と付くスキー学校は「SAJの上達法で教える」ので、1つの会社・企業組織のようなものなのです。(コンビニやイオンなどはどこも同じやり方ですよね。それと同じ感じで研修会もあります。)
なので世間一般に例えると
- スキー技術選というオーディション番組のようなコンテンツでスキー人口を増やしつつ、人材発掘
- 有能な人材はSAJ・ナショナルデモに認定
- デモ技術を海外に輸出(現在は中国などに進出。「技術選」を国際商標登録済みで国際技術選に発展する可能性。欧州勢入れるとまた全日本に戻る?円安・少子化が止まらないので今後海外春出で外貨獲得の方向性もあり得る。)
- 全国のスキー学校にNデモ、SAJデモで研修会での内容を指導
といった感じでフランチャイズ企業のような感じに見えてしまいます。(あくまでも個人の主観です)
しかし、近年のSAJの財務状況を見ると指導員・準指導員資格を更新しないインストラクターが増えてるのが公表されてるので、私も「先生目指してください」と検定合格後に検定員から直接言われました(^^;)
SAJデモも「元ナショナルデモ」(通称:Nデモ)もYouTubeで自分で学校をやったり、スクール所属しつつ集客するケースが当たり前になってます。
中には元SAJ公認スクールのインストラクターで、今は個人でやってメーカー契約してる方もいます。
個人的には寒いところよりPCでカタカタやってる方が好きなので、指導員資格は取りに行くかもしれませんが、現場にはあまり立ちたくない派です^^;
しかも少子高齢化確定の国なので、今後スキー学校のビジネスモデルは激変していくことでしょう。
そして雪がなくなれば消滅するのが今のスキー産業です。
インタースキーでは参加しない国が出てきてる。理由はスキーどころではないから。SAJとSIAの方向性とは?

上記の写真は2007年1月のアルペンスキーワールドカップスイスのウェンゲン会場ですが、街の方は積雪0でした。
このように20年ほど前から欧州では雪不足は当たり前。
インタースキー(スキー先生たちで技術や市場状況を話し合う場)でもイタリアやフランス、オーストリアがスキー学校の経営が成り立たない状況が発表されてます。
インタースキーにはSIAとSAJの合同日本チームで参加してますが、技術選は世界の新たな競技市場としてルール整備すればリピート率増加につながるコンテンツとも言えるので、ルールの透明化が急務と私は考えます。
日本は雪国ですから、今後世界中から移住する人も増え、国籍が株になる時代になってきてるのでそういった意味でも基礎スキー業界は重要な意味を持つと考えます。
トランプ大統領がゴールドカード(永住権)を金で買える仕組みにしたのは時代の転換になるかもしれない。国籍が株になる時代でスキーも激変する。

第二次トランプ政権が発足し、早速実行に移したのがゴールドカードの誕生でした。
要は
国籍を売る時代
になったわけです。
こうなると
うちの国、もう雪ないからニセコか白馬に移住してー
という人が世界中でお金で日本国籍を買う人が出てくる可能性があるわけです。
また、
うちの国、汚職と治安悪いから国を出たい
となれば優秀な遺伝子?を持つ富裕層を中心に
- 水と食が豊かな国
- 治安が良く、子育てが安心な国
- 汚職がない国
- 雪が降る=100年後も山から水が湧き出る
- 教育が行き届いてる国
こういった国に移住者が集中する可能性が高いのです。
お金と優秀な遺伝子を持った富裕層が治安の良い国、水と食料が安定してる国に移住するとなれば、
戦争しなくとも優秀な人材がライバル国から流出し、必然的に戦力は弱まる。
という可能性があるわけです。
なので彼は経済で世界のパワーバランスを作ってるわけですが、すでに日本のスキーリゾートは海外投資家で溢れてます。
詳しく話すと長くなるので割愛しますが、要は日本も国籍を販売すれば海外からどんどん
英語が話せるスキーヤー・スノーボーダーが入ってくる
のでSAJとSIAも危機感があるわけです。
そうなる前に何らかの手を打たないといけないわけです。
また、山火事など自然災害がどんどん世界中で増えれば、住みやすい国に移住する人が出てきます。
SF映画みたいな話が現実化してきてますが、欧州の雪不足でSAJとSIAが雪がある日本で世界のスキー主導権を握る可能性もあるわけです。
ワンチャン、日本がオーストリアとフランスを超えるスキー大国になるチャンスが今目の前にあるのです。
スキーというスポーツを地政学的に見れば、日本は今後世界のスキー中心地になる可能性があるので、海外投資家たちは日本のスキーリゾートに集中させてるのでしょう。
90年代に発売された予言書、大いなる代償でも北米のスキーリゾートが豊かさの象徴になると書いてますが、これもズバリ当ててます。
ニセコや北海道、長野県や新潟県がこれに近いのです。
大昔から水のあるところで必ず文明が発展するのです。
んで、結局基礎スキーってどうなるのさ?

世界的にはフランスとオーストリアで分かれてますが、これは第二次世界大戦の影響があり昔話な部分があります。
ただ、マテリアルによって変化し、アルペンW杯はアメリカが強いので結果として
お金を持ってる国=スキーが強い=正しい滑り
になってしまうんじゃないかと思います。
アメリカは寄付文化が根付いてるので選手強化育成システムがうまく回ってます。また、欧州は雪不足もありスキー競技人口がどんどん減ってます。
日本も減ってはいますが、インバウンドという存在があります。
海外観光客が今の日本のスキー産業を支えてるのは間違いなく、いなかったらとうの昔に潰れてるスキー場がたくさん出てたことでしょう。
ただ、リフトの老朽化は進んで、そこに少子化ですからもう10年は厳しい時代になるかと思います。
日本の滑り方が海外で通用しない理由

SAJではインタースキーでピボット操作のターンではない、カービングでのスピードコントロールを披露したと解説してましたが、そもそも日本と海外では雪質が全く違います。
上記の写真はピボット操作重視の海外の滑り(2級)とカービングの違いを比較した滑りですが、左のサッポロテイネの滑りは
佐々木明選手が出てたFISレースの3、4日後に滑った。スノーセメントの跡がまだあり、基礎上がりの人はみんなFIS公認コースから逃げてた。
という斜面の写真です。
*映像はこちら。ガリガリのアイスバーンで誰も滑ってません。FISレース選手尊敬します。
そもそも海外はアイスバーンが当たり前。そこをアルペンスキーワールドカップ選手はフルカービングターンするわけです。
海外の一般のスキーヤーが滑る場合、ピボット操作で外足荷重にした方が安全に滑れるので結果的にそうなります。
もし海外でスキー技術選のようなプルークターンベースの滑りをすれば、多くのスキーヤーは転倒し、怪我人続出するでしょう。
なので個人的には
スキー技術は全部大事。引き出しが大いに越したことない。基礎も競技も関係ない
と考えます。
SAJの日本スキー教程にも書かれてある通りで、基礎はあくまでも基礎。ゲレンデ全てを滑るための基本技術を指します。
クラウン持ってる人がアルペンに挑戦して急に下手になるのは、あくまでも基礎スキーは
ゲレンデを安全にどこでも滑るための基礎技術であり、レースで通用する応用技術は少ない
のです。
基礎は基礎。
競技はその先にあるわけです。
基礎スキーとは?

スキーは本来自由であり、楽しく安全に滑れることを多くの人は望んでます。
マニアックな滑りなんか一般の人はどうでも良いことです。
ただ、
「誰がやっても上達する=再現性の高い上達方法」
は最低限必要ですから、技術選で結果を出した人を中心にノウハウを作ってるわけです。(技術選で失敗した人は出てきてないですよね)
実際スキー場全体を見ると上手くなる人のほとんどがリピーターになる傾向が高く、結果的にスキー場やスキー場周辺の経済が潤うので、そういった意味でもSAJとSIAは非常に大きな役割があります。
危険なスポーツだと誰もやろうとは思いませんし、親もやらせないでしょう。
健康増進に役立つスポーツが発展します。
「健康のためのランニングやジョギング」と「タイムのマラソン」に分かれてるように、基礎スキーと競技スキーがあっても良いと私は考えます。
2つのスキーには違いがあって当然と考えれば、基礎スキーはありなんじゃないかなと思うのです。
ただ多くの人が基礎スキーに対して疑問視してるのは
「基礎スキーばかり雑誌に掲載されるので、勘違いして競技スキーでも技術選のような滑り方をする」
という人が出てることではないかと思います。
技術の違いがわからない人が多いので、今私自身がXやYouTube、snowweb.jpで解説してます。(雑誌は売らないといけないのでどうしてもテクニカル・クラウンの内容になりがちなのは仕方ないことかと思ってます。)
いろんなご意見があるかと思いますが、スキー業界みんな仲良くやっていけたら1番いいんじゃないかなーと思ってます。^^;

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基礎・競技に関係なく使えるスキー上達法についてYouTubeとブログで解説しています。用具に関する話題なども豊富にブログで書いてます。