スキー(雪面)の捉えを速くするって何?滑り方を画像と動画で解説 PR含む

スキー(雪面)の捉えを速くするって何?滑り方を画像と動画で解説

今回はアルペン競技のGSとSL、技術選、プライズテスト(テクニカル・クラウン)向けの技術解説となります。1級受験者も役立つと思うので気になる人は読んでみてください。

スキー(雪面)の捉え(とらえ)とは?なんで速くする必要あるの?

対象レベル:1級以上の基礎スキーヤー、アルペンスキー選手

今回は久々にXの投稿を深掘り解説したいと思います。

デーブ・ライディンングが2025アルペン世界選手権6位でしたが、これだけ長く最前線で活躍できる理由の1つに捉えの速さがあるでしょうね。W杯上位選手は皆滑走面見えるのが速いです。

写真はこちら

ぜひグーグルイメージ検索などでアルペンスキーW杯のターン始動の瞬間をGSやSLの写真で見て欲しいのですが、W杯上位選手の共通点として

捉え(*1)がすごく速い

という特徴があります。(下記画像参照)

捉えとは?(*1)

個人スポーツなので主観的表現でさまざまですが、基本的には

  1. 雪面を捉える:これはスキー板のトップ(先端)に重さを乗せる意味で使う人がいる。若干前傾姿勢になると先端からセンター部分までのエッジ(サイドカーブ)を使えるので、より深く曲がりやすくなります。
  2. 捉えが速い:角付け(板を傾けてエッジを立てること)をスキー板の先端からいち早くグリップさせて、スキー板のサイドカーブを使って迎角(曲がる角度)を自由自在にできること。ちなみにアルペンW杯のトップ選手はありえないくらい速いです。(上記のXのリンク先の画像参照)

という意味と役割が「捉え」にあります。

簡単に言ってしまえば

スキー板の先端部分を使うことで、鋭角に曲がることができる。アルペンだと横に振った難易度の高いポールセットへの対応やポールの横でターンが終わる感じで滑れて、ターンの遅れを少なくできる。

という感じで受け取ってもらえればと思います。

全日本スキー連盟(SAJ)の教科書、日本スキー教程も捉えを重視した形式に変更

2024年10月7日に日本スキー教程が10年ぶりに改定されましたが、教程の肝とも言える「ベーシックパラレルターン」はスキー初心者の段階からこの

「スキーの捉え」

を重視した滑り方で全て解説されています。

細かい理由は下記の動画で解説してるので気になる人はご覧ください。(ここでは割愛します)

ちなみに私は1級受験時の事前講習で検定員から

小回りの捉え速いですね。アルペン経験者って感じの滑りですねー

なんて言われましたが、私のスラローム実績はほぼゼロです・・・。苦笑(100人くらいみーんな転倒して入賞したことあるくらい。完走者30人ほどのレースでした・・・笑)

ただ、滑りを見た瞬間にアルペン経験者は検定員に見抜かれるので、アルペンを経験したというだけで1級レベルだとかなり有利になってしまうという点があり検定員も先入観が入るのかもしれません。(基礎上がりの人と滑り方が全く違うため)

また、滑り込んでる量が一般スキーヤーに比べ年間3倍以上違うので(選手時代雪上で150日くらい)、

うまく見えてしまうのは致し方ないんだろーなー(1級点数出なかったけど)

と思いながら受験してました。(スキー界では下手なんですけどね)

そしてSAJも年々アルペン重視な滑りになってきており、

「技術選=アルペンフリースキー大会」

と言っても過言ではないくらい、

ストックをあまり使わず、急斜面を膝で捉えを速くしてグイグイ回し込んで深回りする滑りに高評価を与えるのもどうなのか?

と膝が硬いオッサンは思ってしまうのですが、これって老害なんでしょうねぇ。

「ストックなし小回り規制種目」作っても大した今までのショートターンと変わらない気もしますが、とりあえずSAJはアルペンW杯のような方向性になってきているのは間違いないです。

W杯は常に毎年滑りが変化してるので。セッティングや滑りも微調整されます。(勝つために選手は日々試行錯誤してるので、滑りに変化があるのは当然です。)

さらに技術選選手、若手の影響で

  1. 膝下の動きで
  2. スキー板の捉えを速くし
  3. 深いターン弧で暴走を防ぐ(←ここが基礎スキー)

という

従来の「テールのズレを使う横滑り」という流れから、「カービングを使ってライン取り(横移動)で暴走を防ぐ」という基礎スキーの流れを残しつつ、競技への流れを考えてる

という印象を持ってます。

そもそも昔から基礎スキーは名前の通り「基礎」があって、応用であるアルペンやモーグルといった競技への流れを作る土台の市場でもあります。

なので今はもう基礎と競技という境目がなくなりつつあり、

「全てのスキー競技の基礎」

という重要な役割を担ってるのが級別バッジテストなので、延長線の流れであるプライズテストは

カービングターンでスピードコントロール

という横滑りというか、従来のズレから板をカービングでの横向きにしてスピード制御する流れになったという印象があります。(あくまで個人の感想です。1級までは横ズレ(スキッティング)必須は変わらないでしょう。たぶん。事前講習で聞いてみてください。)

横滑りの違い

  1. 1級までは従来はズレ、2025年からはズレを出しつつもズレ方が減って横移動でスピード制御(というのがデモ選での印象)
  2. テクニカル・クラウンは横移動のカービングでラインを上に切り上げるイメージ(従来通り)

アルペンスキーワールドカップも横移動重視のポールセットになって、選手の安全を確保しようとする動きがあるので、この記事を書いてる現在は横移動重視の時代と言っても過言ではないでしょう。

アルペンW杯の場合、横移動あっても氷の斜面なのでそれはそれで別問題が起きてます。特に2023年以降、両足荷重選手の多くが怪我をしてます。マヌエル・フェラーのような外足重視選手は怪我しずらいです。(私も現役時代怪我がなかったので)

その横移動でも、昔から重要な検定ポイントの1つに「スキーの捉えの速さ」があります。

カービングターンには必須の捉えの速さ。どこから練習すれば良いのか?

2024年10月から日本スキー教程は世界的な流れも受けて、横移動に対応した内容にアップグレードされています。

簡単に言ってしまえば

  1. 10年前に発売された前・日本スキー教程に比べ、カービングターン重視に設計された内容
  2. カービングターンは普通スピードが上がりやすいが、安全にゲレンデを滑れる初心者向けの滑り方も提案。でも捉えをしっかりできるよう説明
  3. 初心者から上級者まで最小限で上達できるノウハウ

という指導内容に変更され、シンプルかつカービングターンも安全なターンも同じようなフォームで上達できる内容になってます。(教程を褒めてますが私はSAJの回し者ではないです^^;会員でもなく完全外部の意見です)

前の教程だと

  1. ターン前半はカービングだけど、後半はピボット操作での横ずれでスピードコントロール
  2. 90年代のウェーデルンのような名残がある滑り方

でした。

実際に動画を比較するとよくわかります。

*再生後4分のところで今と昔の小回りの違いが出てきます。

*90年代の小回り

スキー板を真横にする感じでブレーキしながら滑るのは90年代の滑り方と非常に似てます。

これが2022年のスキー技術選の小回り規制種目あたりから、より深いターンになっていくわけですが、この頃から

ターン孤でスピードコントロール

という時代に入ったのではないかと思います。(ちなみに私が受験した2024年3月の1級小回りは「カービングピボットショートターン」で70点でした。もう点数が出ない評価されない滑りでした・・・^^;)

*練習動画ではカービング少ししてますけど、本番はアイスバーンだったのでグリップが効くよう2021年北海道デモ選での基礎パラレルターン小回りピボット風に切り替えました。点数は70点でした。

しかし、2023年頃のデモンストレーター選考会からは丸い深いターン弧の基礎パラレルターン(今はベーシックパラレルターン)に変化してるので、

  1. ターン前半の捉えを速くすることで
  2. ターンが板のトップからテールまでのサイドカーブを使えるので、横に行こうとし
  3. 結果、暴走を防げる。または加速もできる

という滑り方になっています。

また、大きな特徴として

上級者になればなるほど、正面から見て膝の角度が平行になり、両スキーのエッジが立ってる状態になる(角付け)

という大きな変化が出たのが2022年以降、日本スキー教程は2024年10月以降となります。

ターン前半の捉えを2時の段階からする方法

北長沼スキー場(肩が内側に傾いてもスピードがあるので遠心力で内倒しない)

この写真はロングターンのターン前半の角付けした瞬間を映したものですが、イラストにするとこんな感じです。

ちなみにアルペンスキー競技の男子スラロームを動画で比較するとこんな感じになります。

捉えの速さを3名の選手で比較するとよくわかりますね。0.25倍速で見ると発見がたくさんあります。2025スキー技術選と比較してみると面白いかもです。

①切久保仁郎選手

②小山陽平選手

③メイラード選手

動画はこちら

正直私はW杯経験者ではないので、彼らの「感覚」を説明できないのですが、少なくとも映像から確実にわかるのは基礎も競技も

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基礎・競技に関係なく使えるスキー上達法についてYouTubeとブログで解説しています。用具に関する話題なども豊富にブログで書いてます。

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