ベーシックパラレルターン小回りと基礎パラレルターン小回りの違い。2025日本スキー教程で滑り方どう変わった? PR

ベーシックパラレルターン小回りと基礎パラレルターン小回りの違い。2025日本スキー教程で滑り方どう変わった?

日本スキー教程が2024年10月7日に改訂され、多くのユーチューブ動画では「そこまで変わっていない」という認識でしたが、SAJ公式動画配信後、かなりの変更がわかったのでお伝えします。

注意:これから1級2級受験される方はここの情報を鵜呑みにせず、必ず事前講習で検定員にどんな滑りが評価されるのか、ナショナルデモ寄りに滑れば良いのかなど疑問点を必ず聞いてください。あくまでも「ナショナルデモの滑り方が違う」というお話をするので、そこはご理解ください。
記事の要約

  1. 大回りはさほど変化はないが、小回りが激変している。
  2. 大雑把に言うと基礎パラレルターン小回りはピボットによる横滑りを使った滑り方、ベーシックパラレルターン小回りは3関節、荷重、構え、内足と両スキーのエッジングがまるで違う(というあくまでも個人の感想です)
  3. 結論、ベーシックパラレルターンは試す価値あり。スキー技術がすごくシンプルになり、深回り、ターン後半の加速、キレがより簡単になった。(記事後半)

2025ベーシックパラレルターン小回りと2024年までの基礎パラレルターン小回りは具体的にどこが違うのか?

上記の写真を見てすぐに気づいたら、スキー通です^^;

論より証拠を見た方が早いかと思うので、ナショナルデモの実際のお手本を比較してください。Xフォロワーには数日前にすでに通知している内容です。(アルペン・基礎の速報は全部ここで流してます)

1級小回り比較:まず2021年当時の武田竜選手の「基礎パラレルターン小回り」。

①横ずれ

②ストックワーク

③上下動 がハッキリしてます。それに対し、(続く)

デモの「2021年基礎パラレルターン小回り」の滑りはこちら

続き:一方、ベーシックパラレルターン小回り(再生後42分21秒から)を見ると

①上下動は控えめで上に圧が抜けないようにしてる

②トップのエッジをかなり噛ませ、カービング要素を強めて基礎パラレルより遥かに板がたわんでる

③ストックのつき方も違う

という違いがあります。

追記:

動画はこちらです。42分21秒にベーシックパラレルターン小回りのお手本が出てます。2021年からフルモデルチェンジしてます。全く違う滑り方です。バッジテスト1級2級でどう点数に影響するか・・・

https://x.com/hide_skiarea/status/1886594891482063200

ベーシックパラレルターン小回りは「横滑りのずらし」から「たわみ」に変化

上記のイラストは「基礎パラレルターン小回り」時代の図解解説ですが、ベーシックパラレルターンは2番と3番の間というか、3番に近い2番といった滑りに激変しています。

注意:ベーシックパラレルターンにも制動と推進の2つがあります。ただ、以下のXの投稿にある動画でも解説してますが、前スキー教程よりも2024年10月以降のスキー教程の方が遥にカービング要素が強くなった印象です。(中央研修会動画などは昔からの延長線上とは言ってますが、外野の人間から見るとかなり小回りに変化出てるように見えます。

ちなみにこちらがスキー大学のデモの滑りになります。ベーシックパラレルターンを集中的に解説してますが、制動にしろ、推進にしろカービング要素があります。前スキー教程よりも横滑り要素減ってる印象を受けました。

動画はこちら

小回りの滑り方がガラッと変わったのは2022年の規制種目からです。2021年とはまるで滑り方が違います。

動画はこちら

理由を色々考えていたのですが、大きな要因の1つとして

「スキー技術向上プロセスのシンプル化」

ということはSAJの動画内でも語られています。

また、個人的には

ナショナルデモンストレーターたちの滑りが激変してる。特にベーシックパラレルターン小回りがすごい変化・・・

しており、2021年と2022年でカービングによる暴走を減らす狙いもあったのではないか?と予想してます。(技術選小回りの規制種目が良い例)

具体的には

横滑り+ピボットからのたわみ→ターン前半からのカービングを使ったたわみ

といった印象です。

技術選とか見てると「ベーシック」や「基礎」といった1級、2級検定種目が出てこないので、見過ごしがちですが、過去のデモンストレーター選考会と動画比較するとハッキリと滑り方の違いが出ています。

連続写真で基礎パラレルターン小回りとベーシックパラレルターン小回りを比較してみる。

上記の滑りは基礎パラレルターン小回りですが、影のシルエットを見ると

  1. 上半身はフォールライン
  2. ストックをきちんと突こうとしてる

これに板が真横というか、

若干の横滑りが入る

というのが2021年のデモ選での基礎パラレルターン小回りの動きです。

連続写真で見るとこんな感じです。

1級70点の基礎パラレルターン小回りの滑りを連続写真で解説

1ターンを6枚の写真で解説していきます。あくまでも70点レベルの基礎パラレルターン小回りとしてご覧ください。(これが合格ギリギリラインの滑りです)

STEP1
上半身をフォールライン方向に向けて次のターン始動(捉え)を早くする

STEP2
上半身もスキー板もフォールライン方向になり、テールを横向きにする準備

STEP3
テールを横向きにしていく

STEP4
横滑り開始。1級でのフルカービングターンは減点なのでトップからセンターでカービング要素を入れ加点を狙った(当時)

STEP5
横ズレでスピードコントロール。一定のターンリズム、外足荷重で小回り

STEP6
外足からの反発力で体重、重心移動し次のターンに入っていく。抜重してもOK(ここは個人差あり。ベーシックパラレルターンでは抜重は控える)

といった横滑り重視の滑り方が今までの基礎パラレルターン小回りの滑り方でした。

では次にベーシックパラレルターン小回りの滑りをします。

ベーシックパラレルターンの滑り方

一方、ベーシックパラレルターン、特に小回りがかなり変更になっており、カービング要素がさらに重要視されます。(上記の解説写真はベーシックパラレルターン全般の技術)

もっと突っ込んだ言い方をすると

カービング=スピードが出るはずなのに、カービングのまま暴走しないターンに仕上げる

というイメージです。そのためにはテールの使い方が非常に重要になります。

まずは連続写真で解説していきます。

STEP1
横滑りのようなフォーム、フォールライン方向のフォームから入る(影はもちろん、背中と膝の下が平行になってるのにも注目)
STEP2
この段階から板を回し込む。回し込むには教程の3関節が重要(武田竜選手は下半身の2つが動けば3つ動くと研修で解説してます)
STEP3
上半身を固定したまま外足荷重にし、スキー板のセンターからトップにかけてエッジングするイメージで滑る。両足にカービングが始まってることがわかる1枚の写真です。(先に内足から雪煙発生。)
STEP4
低速の小回りでもスキー板がたわみがじめ、カービングが始まってる。両スキーのエッジは立てたまま(急斜面の場合)にし、勝手にテールもずれていくのでスピードコントロールされる。(雪煙が両足からでてる)
STEP5
3関節、背中と膝の角度も維持したまま両スキーにエッジングが均等にかかった状態で雪面からの反発で反対方向に移動
STEP6
スキー板は進行方向、上半身はフォールラインのまま上に力を抜かず、雪面からの反発力(圧)を使って次のターンに入る。

といった流れです。

より正確で詳しい解説はSAJ公式のナショナルデモの研修会動画がYouTubeで公開されてるので、そちらを参考にしてください。(写真は1級レベルの人間の滑りなので^^;)

ベーシックパラレルターンはなぜ生まれて、この教程内容になったか?過去のスキー技術選小回りを見ると暴走に見える。(というか暴走→後傾姿勢選手が多い)

詳しくは下記のXで過去のスキー技術選小回りの映像を比較して欲しいのですが、

たった1.2年で小回りが激変してる

というのがよくわかります。

SAJ全日本デモンストレーターの年代別「基礎パラレルターン小回り」(2つともまるで違う)と「ベーシックパラレルターン小回り」があまりにも違う・・・。こりゃ混乱する・・・

過去3年分の級別バッジテスト小回りの見本デモ滑走比較動画はこちら

2014年から2024年までの日本スキー教程

  1. カービングスキー板の登場でゲレンデに暴走者が増え、横滑りを1級検定に設定。のちに1級は総合滑降に変更(こちらのP71参照)
  2. SAJは横滑りでの暴走防止で対処

という流れでしたが、2021年から2023年にかけて基礎パラレルターン小回りがゆっくりになってるのがリンク先の動画でもよくわかります。

また、2021年の技術選小回りでは暴走してる人が多く、スキー板に置いてかれる選手が数多く映像で残ってます。

しかし、翌年の2022年のスキー技術選では規制種目の登場で今の

「中回りのような小回り」

が誕生したわけです。

2021年の小回りで暴走に見える原因の1つに全日本スキー連盟の外足荷重でのカービングがあるのではないかと個人的に見ています。

2021年のSAJスキー指導者研修の映像を見ると

2021年:外足重視

2025年:重心が中央を軸としたカービング

という印象を受けます。

当時のSAJの研修映像はこちら

また2021年スキー技術選小回りのラインが遥にまっすぐで、今とは比較にならないほどまっすぐに見えます。

おそらくターン幅3mもないんじゃないかなと思います。

この記事を書いてる現在の技術選小回りのターン幅は5mから5.5mですから、

横移動すれば暴走しないよね。しかも横移動で加速を表現するにはもっと技術が必要だよねー

ということがわかります。

2022年スキー技術選で小回り規制が誕生しましたが、翌年の2023アルペンスキー世界選手権でもターン幅が異常に広いポールセットでのレースとなりましたね。

映像はこちら

なので、5mの小回り幅になかなかできないという人が多いんじゃないかなーと思いますし、私もそんな悩みを持ってましたが、解決したのが2024年10月7日に発売された日本スキー教程というわけです。

実際にパラレルターン小回りのターン弧が1日で激変し、その日にXで写真をシェアしたのが以下の画像です。

C字のターン孤からなかなか脱せない写真

外足荷重重視だとC字のターン孤から抜け出せてません。

1日でS字ターン孤に変化した写真

いわゆる「フルカービングターン」に見えるスキー技術選の今の小回りをするには

  1. 日本スキー教程を技術を使い
  2. 高速横滑りを入れて深回りが可能

ということがわかりました。

スキー教程をベースに滑り、「高速横滑り」で深いターン孤を描けた

ので、ベーシックパラレルターンという概念は現代のスキートレンドと言いますか、

ベーシックパラレルターンとは?

  1. 横移動で暴走を食い止めつつ
  2. トップからセンターまでのサイドカーブをしっかり使う(特にトップの使い方に特徴あり)。
  3. 靭帯の問題などを考慮したフォーム(ベーシックパラレルターンについて説明する動画がこちら
  4. 速いキレのあるターン、横ズレのターンも可能
  5. 最終的には2024スキー技術選のような深回りの小回りができる滑り方。しかも過去の基礎パラレルターンを継承しており、実は横滑り(ズレ)を使ってる。でもパッと見フルカービングターンに見える。

という

一般スキーヤーの安全性を担保し、かつキレのあるカービングターンも可能

という非常に合理性の高い滑り方ではないかと思います。

ただ、個人的にベーシックパラレルターンにはデメリットもあると思っており、

両膝を平行にするのはスキー初心者・中級者には高度な滑り方では?

という印象も持ちました。

指導員や準指導員でもできない人が出るんじゃないかと思っており、今後技術選や各検定のジャッジでどう変化していくか見守りたいなと思ってます。(あくまでも教程は教科書であり、個々に合わせた指導をするので指導の現場ではケースバイケースでしょう)

スキー技術の引き出しはたくさんあった方が良いので、個人的には横滑りの基礎パラレルターン小回りのような滑り方もアイスバーンなどの雪質では安全性が高いので、両方覚えておくと良いと思います。

スキー検定にどのような影響があるか?

1番気になるのは1級2級受験者でしょう。

私が1級と2級に合格したのは2024年2月と3月。

基礎パラレルターンの最後のシーズンでした。

この記事を書いてる時点では、まだYouTubeなどに2024−2025シーズンの検定動画がどこもアップされてないのでなんとも言えないのですが、

おそらく日本スキー教程の滑りを真似しなくても、基本的な1級2級で求められる技術(公式サイトに書いてます)があれば合格する

と思っています。

ただこれはあくまでも個人の予想なので、必ず事前講習で検定員の話を聞いたり、疑問点を質問してください。

一般のスキーヤーの滑りは昔からあまり変わっていないので、過去動画の内容をきちんとおさえていれば合格すると思います。

参考までに過去動画も添えておきます。

日本スキー教程を本当に理解するには過去と現在の両方の視点から見ないと理解できない

私は元々アルペンの世界にしかいなかったので、いわゆる「基礎スキー」という世界を知りません。

なので

バッジテスト2級から受け直せば色々わかるかも

と思い、2024年2月に30年ぶりに2級から受験したわけです。

結果1級まで合格しシーズン終了したわけですが、

  1. インタースキー
  2. SAJ・SIA
  3. 技術選の流れ
  4. アルペンスキーワールドカップ
  5. 安全に関するデータ

で教程が変わるんだなーということがようやくわかってきました。

SAJとSIAはインタースキーに合同で出てますが、ゲレンデの状況やマーケットも踏まえて色々動いてるので、そういった様々な時代の流れでベーシックパラレルターンが生まれたのだと思います。

スキー業界の都市伝説では

技術選優勝者で教程が変わる

なんてコメントを見たことがありますが、10年に1回くらいしか発行されないので都市伝説が本当なら10人の優勝者(連覇の人もいるけど)になってしまいます。

なので、執筆スタッフメンバー中心に色々考えて構成したのが事実でしょう。

もちろん、教程の滑り方が武田竜さんに似てるなーという印象がありましたが、実際にゲレンデで試してみることで

だから技術選のターンはこうなったんだ

ということがわかります。

MEMO:基礎スキー(検定)1級まではアルペンやモーグルなどに発展できる、名前の通り「スキーの基礎」(土台)を形成する場所として存在しており、SAJの日本スキー教程でも解説されてます。まずスキー場の全斜面を滑れるようにし、そこから競技や技術選、プライズテスト、指導者に流れる部分を作る技術的土台が級別バッジテストになります。逆に言えば最先端がW杯であり、アルペンW杯のポールセットやモーグルの滑りが変化すれば、基礎も変化していきます。(マテリアルルールや安全基準が常に変わるので)

読めば読むほど「今のスキー技術」が理解できるので、賛否あるかもしれませんが、1度騙されたと思って教程の中身を実践してみると面白い発見があると思いますよ。

なお、深いターン孤の描き方(上記の写真)は近日中に技術レポートをまとめたいと思います。

追記:これはあくまでも個人的な感想ですが、今回のスキー教程は武田竜選手のメソッドを反映したものではないかと思います。撮影の現場、研修会での3関節の解説動画も武田竜選手ですし、滑り方が技術選の武田竜選手に似ており、研修会でナショナルデモがレクチャーを受けてます。結局、技術選で他の選手がブレて点数にバラツキが出てるのは、無駄な動きで内倒や後傾になってるからなんですよね。(なので他の選手は深い内傾角でリスクを負って、武田竜選手に追いつくしかない構図)SAJとしても種目の点数差が最も少ない武田竜選手の滑りをベースに今回は作ったのではないか?というのが私の予想です。実際に教程の滑りをすると「ほーなるほど×2」という発見がたくさんありました。2025スキー技術選で武田竜選手のレクチャーを受けた後、他の選手がどう滑りに変化が出るか?スーパーファイナルが楽しみです。

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スキーは楽しくゲレンデで安全にみんなが楽しめればそれで良いと思います。ただ、検定やアルペンなどは最低限やるべきことがあるので、ブログとYouTube、Xでそれぞれ細かくお伝えしてます。アルペンW杯・冬季五輪速報はXでやってます。スキー下手くそなので日々勉強中したことをシェアしてます。

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