スキー検定 1級・2級は、なぜこんなに不合格者が多いのか


今回はなぜ1級と2級で不合格者が多いのかというお話をしました。動画を再生すれば音声で聞けます。
「パラレルが何となくできるから受けてみよう」――そうやって受検して、落ちてしまう。1級・2級のバッジテストでは、これが本当に多いパターンです。
今回は、なぜ1級・2級でこれほど不合格者が出るのか、そして受かる人は何が違うのかを、できるだけ現実的な視点で整理してみます。一部は私自身の受検経験や、運営している動画チャンネルのデータに基づく話で、定量的な裏付けが弱い部分もあります。
その点はそのつど、はっきりお断りしながら進めます。
結論:勉強嫌い・練習嫌いが圧倒的に多い
先に結論から言ってしまうと、落ちる人の多くは「勉強嫌い・練習嫌い」です。
加えて、受検者の半分ほどを子供が占めます。そのため、そもそも「記念受験」的なノリで受けに来る人がとても多い。準備をせず、なんとなく受けて、なんとなく落ちる。これが最も多い形だと感じています。
これは受検者を責めたいわけではありません。
ただ、合格率という数字の背景には、こうした受検層の事情が確かにあるということです。
データが語る:視聴維持率は合格率と一致する
少し面白いデータがあります。私の動画チャンネルの「視聴維持率」です。
テクニカル以上を対象にしたような技術的な動画は、終盤まで30〜40%の視聴者が残ります。ところが、1級・2級向けの動画になると、終盤の維持率は1割ほどまで下がってしまう。つまり、最後まで観る人がぐっと少なくなるのです。
一方で、1級・2級の合格率は、各種の統計を見るとおおむね10〜20%。 最後まで観る人の割合と、合格する人の割合が、不思議とほぼ一致します。
ここから言えるのは、

最後まできちんと学ぶ意識の高い人が、そのまま合格している
という素直な事実です。
人の話を聞き、ちゃんと準備して練習する人は受かる。逆に、意欲がない人は落ちて、受検料を損してしまう。特にノリで受けに来る人が多すぎるのです。
合格率の実態

ここからは数字を見ていきます。
私が受検したときの数字
具体的な数字を挙げます。私自身が受検したときの記録です。
- 1級:10人受けて5人合格 → 50%(2人に1人)
- 2級:29人受けて6人合格 → 約21%
意外かもしれませんが、2級のほうが合格率は低かった。受検人数が多く、子供も多いため、結果的にパーセンテージが下がったパターンです。
全国的に見ると
全国に目を広げると、たとえば苗場スキースクールなどが合格者数を公表しています。それらから推定すると、1級・2級を合わせた合格率は、おおむね20〜40%のあたりで推移していると考えられます。
つまり、半分以上は落ちる。
子供が多いので仕方ない面もありますが、「何も調べずに受ける」人が大人にも少なくない、というのが実情です。
なお、「受かりやすいスキースクールはあるのか」とよく聞かれます。会場による差は確かにあります。ただ、それは本質的な近道ではありません。
落ちる人の最大の共通点:着眼点を調べない
では、なぜ落ちるのか。最大の原因は、
検定員がどこを見ているかを調べないこと
です。
何を採点しているのか、何点で合格なのか、何が減点になるのか――これを知らずに受けてしまう人が、大人にも意外と多い。
しかし実際には、着眼点も配点も事前に公開されています。調べればわかるのです。
snowweb.jp には検定の着眼点や配点を解説した記事をまとめていますし、SAJ公式の動画も紹介しています。検定員がどこを見て、その滑りに何点を付けるのか。これらを観れば、かなりの部分が見えてきます。
さらに、当チャンネルではスキー動画大会も行っています。
自分の滑走動画をアップしてリンクを共有してもらえれば、こちらで点数のフィードバックができます。受検前に「いまの自分が何点くらいか」を確かめておくと、対策が立てやすくなります。
そして、確実に合格したいなら、お金を払ってスキースクールの検定対策レッスンを受けるのが一番堅い方法です。プロのもとで検定を意識した講習を受ける。これに勝る近道はなかなかありません。
1級までの合格を分ける「3つの基本」
技術的な話に入ります。
突き詰めると、1級までで重要なのは次の3つです。
- センターポジション … 板の上で前後バランスの中心に乗る
- 外足荷重 … 外側の足にしっかり乗ってターンする
- 上下動 … ターン後半の推進
この3つが軸になります。
上下動は「時代」で評価が変わる
上下動については、少し補足が必要です。実は上下動の評価は、世代や時代によって変わります。
昔のスキー板は長く、真っ直ぐでした。だから上下動を使わないと、そもそも板が回らなかった。一方で、いまはカービングスキーが当たり前です。40歳以下の世代は、角付けだけで板が曲がることを当然のように知っています。つまり、上下動は必須ではなくなってきている。
ただし、年配の検定員には上下動を重視する傾向が見られます。私の場合は事前講習で、検定員がどういう滑りを好むかを探って、それに合わせるようにしていました。ジャッジの好みを頭に入れておくこと自体が、ひとつの対策になります。
加点は「事前講習」で取りに行く
これは滑りそのものとは別の、いわば情報戦の話です。
事前講習では、リフトの上などで検定員と話せる場面があります。私はそこできちんと質問していました。「どういう滑りが好きか」を探り、その好みに寄せて滑ることで加点を狙う。滑走力だけでなく、こうした準備でも差がつきます。
2級は「基本の徹底」で受かる

2級までは、とにかく基本の徹底です。
- 外足荷重に乗る
- センターポジションをキープする
- 内側に逃げない(内足荷重に頼らない)
- 同じターン幅で、リズミカルに揃った弧を描く
これができていれば、2級は普通に受かります。でもできない人が多いので、練習量は必須です。
1級の壁は「不整地(コブ)」
1級になると、不整地――いわゆるコブが入ってきます(コブのない会場もありますが、基本は「来る」前提で考えてください)。
なぜコブが入るのか。それは、ここで一番ボロが出るからです。
内足荷重が強い人は、コブを滑れません。
外足荷重とセンターポジションがないと、そもそもコブのターンが成立しないのです。いわゆる「ズルドン」でやり過ごすにしても、ある程度のポジションが整っていないと難しい。整地でできていることを、そのまま不整地でやる――そういう感覚です。逆に言えば、基本ができていないと、コブは越えられません。
最近は温暖化の影響で雪が付きにくく、コブがなくなっている会場もあります。それでも、準備の前提は「コブは来る」で置いておくのが安全です。
怖いなら「会場選び」も戦略
コブが怖い、という人には、現実的なやり方があります。
私は、コブが1箇所しかないスキー場で検定を受けました。不整地が1箇所しかなければ、検定で滑る場所もそこに限られます。事前にそこで滑り慣れてから受けに行き、1級は一発で合格できました。
大きいスキー場だと、これが難しい。電話で問い合わせても、当日の天候によって、上ではなく下のコブに変更されることがあります。どこで滑ることになるか、直前まで読めないのです。
もちろん、理想はどこでも滑れること。これはあくまで「コブが怖い人」向けの、現実的な戦略のひとつです。
フルカービングは原則NG(減点扱い)
もうひとつ、見落とされがちな点があります。バッジテストはフルカービングは原則NGで、減点扱いになります。
基礎パラレルの基本は「ずらし」です。大回り以外のターンでは、前半で角付けしてカービングをかけ、後半でテールをずらしていく。これがベーシックパラレルターンであり、名前のとおり基本は「ずらし」なのです。
フルカービングで滑ると、むしろ点が出ません。当時、フルカービングで69点(不合格点)を付けられたスキーヤーの例も紹介しています。詳しくは関連記事を参照してください。
まとめ:練習すれば、必ず近づく

最後に整理します。合格に近づくための道筋は、次の3つです。
- 着眼点を調べる … 検定員が見る所・配点を、先に把握する
- 正しく練習する … センターポジション・外足荷重・ずらしという基本を体に入れる
- 戦略的に受ける … 会場選び、事前講習、検定員の好みのヒアリング
正直に言えば、10年受け続けても受からない人もいます。練習すれば必ず受かる、と簡単に言えるほど甘くはありません。
それでも、独学で何年も落ち続けるくらいなら、1年だけ本気で取り組み、スクールにも通って受けたほうが、結局は安上がりだと個人的には思います。ここは価値観の問題なので、押し付けるつもりはありません。
着眼点を調べ、基本を正しく練習し、戦略的に受ける。やるべきことはシンプルです。皆さんの合格を応援しています。
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